<DATA No.993> シャープ「W-ZERO3[es]」(code=384) ← 日本無線WX310J(code=322)
前機種の使用期間:4ヶ月〜6ヶ月
新機種の使用期間:3年8ヶ月
良い点
●機能限定とはいえ、パソコンに非常に近い存在 WX310Jが気に入っているのに今回これにしたのは、「ノートパソコンが壊れそうだから」という理由でした。実際にはそのノートパソコンは壊れませんでしたが、普段使いのデスクトップパソコンのHDDがクラッシュした時には、なんだかんだ言いながらもメールやインターネットなどの必要なものが確保できたのは特筆に値します。 Pocket ExcelはExcel97と同等レベルのものですが、私はマクロを使用しないので、これはこれで十分に仕事をしてくれました。また、テキストエディタ代わりにPocket Wordも活躍し、先に発刊した書籍の、文章の約1/5をこれで書いたほどです。いつでもどこでも書き物ができたという意味では、こういったスマートフォンに巡り会えて本当に良かったと思っています。 残念ながら、スライド部分にあると思われるフレキシブルケーブルが断線してしまったのか、画面に縞模様が入るようになり、この良き相棒を手放さなければならなくなりました。この場を借りて、この相棒と、これを企画し、作り上げてくれた皆様に、深く深く御礼申し上げる次第です。 ●OperaとInternet Explorerは使い分ける 起動が遅い代わりに表示の見やすさで勝るOperaと、起動が速い代わりに表示がQVGAのInternet Explorerという、相反するブラウザが2つ搭載されています。ブログなどのちょい見や調べ物はInternet Explorerが便利でしたが、綺麗にデザインされたサイトはOperaの方が見やすかったと思います。 ●優秀なPicsel PDF Viewer Picsel PDF Viewerは本家のAdobe Reader(Acrobat Reader)よりも軽快に動作する上に、メモリの少なさを補うために1ページごとの読み込みにも対応し、ズーム機能も搭載されていました。データなどを見るのに重宝したのは言うまでもありません。 ●ソフト追加で広がる可能性 また、Windows Mobile(WindowsCE)用のソフトもインストールできますので、知識があれば機能の追加も簡単ですし、万一のサブ運用機として活躍してくれると思います。 ※誤解のないように書いておきますが、Windowsパソコン用のソフトはインストールできません。W-ZERO3系で走るのは、Windows Mobile(WindowsCE)用で、CPUはARM用のもののみです。 ●初代W-ZERO3よりも小さくなった筐体と、テンキー・フルキー・タッチパネル搭載 画面を小さくして、筐体サイズを小さくしています。これは賛否両論かと思いますが、私は歓迎したいと思います。ベースがWindows Mobileなので、画面をタップ(タッチ)することも可能です。このタッチパネルが良くできていて、多少のこつは必要ですが、指で画面を直接タップしても反応してくれます。通常端末も、画面タップが可能な機種が出てくるのではないかと期待してしまうくらいに快適でやみつきになります。 また、小さいながらも比較的打ちやすいテンキー・フルキーで、よく研究されているという印象を持ちました。フルキーには数字キーもあり、C言語のソースファイルを書くのにも重宝しました。これ以降の機種からはフルキーの数字キーが省略され、Fnキーとのコンビネーションになってしまいましたが、私からは是非復活をお願いしたいと思います。
悪い点
●音声着信をロストすることがある 初期型W-ZERO3等などで以前からいわれている音声着信の不具合ですが、若干改善されているとはいえ、やはり着信をロストすることがあるようです。症状としては、電話が鳴り通話ボタンを押すと、通話アイコンのみ表示されてアプリケーションが立ち上がらず、音声のやりとりができないばかりか、通信は無音のまま継続されてしまうというものでした。この症状、うちの環境では約15回に1回程度発生し、そのたびにリセットボタンを押す羽目になりました。個人的には、この部分はしっかりと直してほしかっただけに、本当に残念でなりません。 ●やはり使えなかったOutlook 電話帳としてPocket Outlookの「連絡先」機能割り当てられているのですが、ビジネスソフトとして作られているだけに、一般向けではない仕様となっていました。日本向けの端末ですので、W-ZERO3メールと同様に専用アプリケーションを開発して搭載してほしかったと、今でも思います。また、電話アプリケーションと連動して、10件程度でも良いので、短縮発信機能もついていれば完璧でした。 ●フルキーに賛否両論 正直な話、フルキーにはずいぶんと助けられました。私にとっては、これは当たりだと思っています。 しかし、当初はフルキーなしでも十分に使えると思っていました。事実、これを書いている時点で、携帯キャリアより2機種のスマートフォンが発売されていますが、いずれもフルキーどころかテンキーすらないものを売り出しています。時代を先行したかったのであれば、ここはフルキーレスもラインアップしておいた方が良かったのではと思えてなりません。 また、フルキー・テンキー操作共に言えることですが、記号の入力がしずらいのは困りました。今後の機種では、このあたりの改善を是非お願いしたいと思います。 ●やっぱりほしかった充電台 充電台はオプションで発売されています(定価1980円)。別途購入しましたが、やはり充電しやすいというのは純粋にメリットと感じますので、価格を押し上げてでも標準装備してほしいと思いました。 ●USB充電できれば・・・ この端末に限らず、W-ZERO3シリーズはUSB充電ができません。USBケーブルにDCコネクタのついた特殊なケーブルを使用し、DC入力端子から充電することになります。しかも、端末の電源が入っている時には500mAしっかり持って行きますので、昇圧タイプ(単3が2本入りのものなど)では充電できないばかりか不安定になる場合もあります。 なお、これの後継機種からは、USB充電に対応するものとなりました。対応して頂き感謝しております。
まとめ
壊れるまで使い込んで、気持ちが変わりましたので、評価点を変更します。 評価のうち、40%の減点は音声着信のロスト関連です。非常に厳しいですが、電話機能を積んでいる以上はこれは当然の評価と思います。ファームウェアでも改善されませんでしたので、これはハードウェアとソフトウェアの相性なのか、Windows Mobileが悪さをしているのかのいずれかとしか思えません。 残り60%は満点の評価です。W-ZERO3シリーズはパソコンと同様に、何かしらの目的があってこそ持っていて役に立つものと思います。私の場合は、長文を書きためる・表計算ソフトを利用するという2つの目的のほか、PDFを入れて調べ物に役立てる、MP3やMPEG4を入れて空き時間に楽しむといった使い方をしていました。 スマートフォンとはなんぞやという時代に誕生し、メディアはminiSDと過度期の設計でした。もちろん不平不満もありましたが、ここまで使い倒した端末は本当に久しぶりでした。この機種はかろうじてウィルコムストアでの取り扱いがある程度となってしまいましたが、手がかかりながらもこうして1ファンに愛されていた端末であったということをお知らせしておきます。 (情報) My Documentsフォルダにあるテンプレートフォルダおよびその中身を消してしまうと、PocketWordで文書やテキストファイルの新規作成ができなくなりますのでご注意ください。万一消してしまって復活させる場合は、他の方からデータをもらうか、フォーマット(PCでいう「再インストール」)が必要となります。私も痛い目に遭いましたので、情報としてお知らせしておきます。 ※39,800円となっているのは、機種変6〜10ヶ月のためです。新規・機種変10ヶ月以上の場合は29,800円ですので念のため申し添えます(価格は当時のもので、現在のものとは異なります)。
お名前:ちだ(Sailors) http://sailors.jugem.jp/
満足度
60%
価格(場所)
39800円(ウィルコムストア)
最終記事修正日時2010/4/14