三國志X プレイリポート 5
F「兵員の補充と訓練が済んだら、次のターンを待って下邳を攻略する」
A「はいいけどよ、拙速でもよかったンじゃないか? 劉備軍の総兵力は6万を割り込んでるから、劉備に2万とすると関羽・張飛のほかにもうひとりがせいぜいだぞ。現有戦力でも充分叩けた気がするが」
F「劉備だけならな。袁紹が攻め下ってきたときに備えて、北海はきちんと整備しておかねばならんから。まぁ、兵士は多いに越したことはないから。じゃぁ、準備が済んだら……張遼だな、遁甲天書三巻を与えろ」
A「え」
F「ここ数回の戦闘で判ったように、曹操に仙術と幻術の両方を任せておくのは、体力的にも行動回数的にも辛いだろうが。趙雲でもいいンだが、アイツは劉備攻めが終わったら前線を離れるから」
A「おや、後方送りか」
F「そろそろ典韋・許褚を鍛えなければならんから、呂布と一緒に交替。ここまで痛めつけた袁紹軍が相手なら、惇・淵と曹仁・曹洪を入れ替えても戦えるだろう。劉備に勝って三兄弟を配下にしてからだがな」
A「おう。……降伏しないかな?」
F「まだ無理だね。外交の脅迫を成功させるには、相手を逃げ場(隣接する空白地)のない一都市に追いつめ、そこと隣接していて、敵対度が60未満、兵力が30倍以上必要だ。都市は追いつめたし隣接もしてるし、敵対度は金なり米なり進物すれば下げられるが、兵力は30倍もないだろ」
A「6万としたら180万……ないなー。せいぜい30万がいいとこだよ」
F「何度か攻め入ってはダメージを与えて撤退し、劉備軍の兵数を1万以下にまですり減らすという手段もあるが、ムダな努力だろうね。攻め滅ぼせ、素直に」
A「ぅへーい……悪く思うな、劉備よ」
攻め入った、のだが。
A「………………え?」
F「こーれー……は?」
下邳に城は3つ。当然ながら劉備・関羽・張飛がそれぞれに陣取っているのだが、関羽・張飛は戦術マップ下半分の平地側の城に、劉備はマップ上側の山のふもとの城にいる。
曹操軍10部隊のうち、呂布・趙雲は寿春からなのでマップ下側、惇・淵は徐州からなのでマップ左側。いずれも2部隊ずつ。残り6部隊は、劉備のいる城のすぐ近くに配備されることになった。
F「目標1ターン! 関・張にかまうな! 劉備を叩き潰せ!」
A「てけれっつのぱー!」
何しろ、食糧庫の上に配置した張遼(知力88)の幻術が届く距離に劉備なのだから、曹操軍にしてみれば容赦の理由も必要もない。初手幻術という前代未聞の事態が展開した。
実際のところ、CPUもこんな事態は想定していなかったようで、関羽・張飛は城を捨て劉備のもとに馳せ参じようとするが、以前触れたように関羽は速攻を(さらには強行も騎射も)覚えないため鈍足。まだ速攻を覚えていなかった張飛も駆けつけることはできなかった。
混乱していた陳登はスルーで、太史慈・周泰・甘寧の三段突撃――劉備との研究で開発した戦車による強化鋒矢陣での――が敢行されるが、幻術でも混乱しなかった劉備はあろうことかこれを受けきる。しかし、張郃のクリティカルヒットによってついに力尽き、劉備軍は曹操軍に屈することとなった。
A「何だ、いまの?」
F「ああ、クリティカルヒットと云ってな。勇名が高い武将が攻撃すると、ときどき2倍のダメージを与えることがあるンだ。偃月の陣だと発生確率が2倍になる」
A「へー……初めて見たなぁ」
F「そろそろ強くなってきてるってことだな。……しかし、本当に1ターンで勝てるとは思わなかった」
A「だよなぁ……なんちゅー幕切れ」
ちなみに、クリティカルが出なくても倒せると判断したので、徐晃が陳登を叩き潰し、追いついた趙雲が一騎討ちで張飛を捕えている。呂布が届いたとしても関羽は倒せなかったのがちょと残念。
A「……あー、張飛が降ってくれなかったな。一騎討ちでいぢめたからか?」
F「ふつうに考えれば劉備一家が曹操に降るワケがないって」
A「その割には、関羽と劉備は降ったよ? 陳親子は演義通りとしても」
F「劉備が降らなかったらさすがにやり直すべきだったが、これならいいな。満足すべき結果と考えよう。ロードして戦闘をやり直して、劉備が他の城に逃げてたらかなわん」
A「だよなぁ……」
張飛・関平ら劉備の旧臣たちは、なぜか孫策のもとに流れついた曹豹を除いて、ほぼ全員が袁紹に拾われている。というわけで、2ヶ月以内に曹操軍に引き抜かれている。
A「よし、三兄弟がそろったぞ」
F「それぞれのアイテムを返しておけよ。関・張は軍事担当でいいが、劉備は人事担当にしておこう。こいつら3人を下邳に残して、周泰たちは寿春、呂布と趙雲は宛、惇・淵は長安に移動」
A「北海に張遼・張郃・徐晃、晋陽にコーソン・厳顔・紀霊・高順、平原には曹操・曹仁・曹洪・許褚・典韋か。袁紹がだんだん気の毒になってきたな」
F「張飛が襄平で募兵していたようだから、まだ油断できん。いちターンにつき、募兵は一都市で1回しかできないからな。いま袁紹は4都市だから、1ターンで少なく見ても2万は兵士を増やせる」
A「増やせるだけで、訓練が行き届かなくなってきてるけどな。前線の南皮の兵士はそれでも8万いるが、訓練度が96だぜ。北海で主力を壊滅させたのが影響してるな」
F「だいぶ楽になってきたな。そろそろ、幻術は必要なくなるか」
A「没収はしないけどなー」
武将の移動と兵の補充、気力の回復に3ヶ月を費やしたのち、曹操軍は平原・北海から出陣。向かってくる敵部隊を鶴翼で受け止めて、包囲し一斉攻撃で叩き潰す戦闘スタイルの前に、野戦部隊は次々と壊滅。南皮は城数5を数えるが、スキル無双を持たない袁紹・田豊・沮授は一斉攻撃の格好の的だった。
城同士の距離が近く、森林が多めのマップなので、少し手間取ったものの、さしたる被害もなく勝利している。
A「うーっし。代県どうする? このターンで攻めるか?」
F「いや、ちゃんと兵員の補充が済んでからだ。攻撃された場合の防御戦では、1ターンに何度でも同じ武将を出陣させることができるからな。いま代県で兵を持っているのは袁譚ひとりしかいないが、攻め入ったら沮授と顔良はいるだろう。対して、宛から呂布と趙雲が到着するのは15日後だ」
A「攻撃側のこっちは、南皮の本隊がもう行動しちゃってるからなぁ。準備不足で戦闘するよりはいいか」
F「ああ、しっかり準備してから攻め入ろうな」
ということで、翌月南皮で兵員の補充と訓練が終わった曹操軍はそのまま代県へ侵攻。晋陽の4部隊と南皮から6部隊で、予想通り3部隊が4つの城を守る袁紹軍と激突した。
先発隊3部隊を壊滅させるも最後の城を包囲し、占領しないで待てば、北平から駆けつけた袁紹軍の増援にして本隊は城の周辺に布陣。包囲された城の上に出現した袁紹隊2万は、偃月陣3部隊と鶴翼1部隊の一斉攻撃だけで半数以下に激減してしまう。他の6部隊によって田豊・文醜・淳于瓊もあっさり壊滅したため、袁紹でも交戦を断念し、次のターンには撤退しようとして曹洪に捕えられる有り様だった。
F「さて、南皮・代県を失ったことで袁紹は北平に全兵力を集中できるようになった。いくら兵力が激減したとはいえ油断はできない」
A「いままでは前線が複数あって、その間の距離と時間を利用していたけど、それがもうできなくなったと」
F「そうだ。より着実な大兵力で叩くのが堅実になってくるワケだ。とりあえず、戦場に出られるのは10部隊までだから、余剰な曹仁・曹洪は下邳にでも送りこもう。あと、長安と宛に軍師を何人かずつ送っておけ」
A「それは?」
F「先に触れた通り、他の君主を脅迫して降伏させるには30倍以上の兵力が必要だ。北方戦線がだいぶ落ち着いてきた現状、そろそろ張り子の虎を用意し始めてもいいかと思ってな」
A「ん、おーらい。それぞれの都市にいる武官の兵士を軍師に渡して、募兵しては訓練するンだな」
F「そうなる。年内に袁紹を滅ぼしたら、北伐軍を余所に再配置するから、また少し軍を休ませることになる。そのときに改めて軍師たちも再配置しよう」
A「いまは各地の太守やってるから、前線都市に集まって兵士の保管だな。ま、勝ってからか」
F「ああ」
すでに総兵力が10万を割り込んでいた袁紹軍には曹操軍の北伐を阻むことはできず、北平ではほとんど一方的に攻めまくられて潰走。しかも、この戦闘で曹操軍はいわば一軍を温存し、コーソンさん・厳顔らの二線級の武将だけで勝利したような状態だった。
そして翌月、襄平へと曹操軍は攻めかかる。コーソンさんたち4人は出陣せずに6部隊だけでの侵攻だったが、対する袁紹軍はその時点で劣勢の5部隊。それも、ようやく武力の低い軍師に兵を預ける愚かさに気づいたのか、田豊は出陣せず、沮授は兵数4000少し(おそらく、他の武将に兵をまわした端数)で、最前線の城に配備されていた。
沮授をほとんど一蹴した曹操軍は、そこから南下。淳于瓊・文醜と向かってくる最後の抵抗を一隊ずつ蹴散らしながら、ゆっくりゆっくり袁紹の本城へ突き進んだ。最後の壁・顔良が倒れたのに前後して、長安・宛から長駆してきた夏侯惇・夏侯淵・呂布・趙雲が襄平に到着する。
袁紹最後の戦いは、侵攻してきた曹操軍10部隊のうち、半数が後方で待機したままという屈辱的なものだった。
A「来る必要があったんかねー、呂布たちは?」
F「勝ったから、勇名が200増えるンだよ」
A「いや、だからってね……まぁいいが。そんなことしたから、顔良も文醜も降らなかったし。淳于瓊はいらんけど」
F「おや、沮授は降ったな」
A「あ、ホントだ。……でも、肝心の袁紹は降伏を拒否したよ?」
F「そうか………………やむをえん、斬れ」
A「ん」
実際のところ、ロードして繰り返してみたのだが、何度やり直しても袁紹は降ってくれなかった。乱数が悪かっただけだとは思うが、お前そんなに曹操が嫌いかと毒づきたくもなる。