三國志X プレイリポート 3
ゲーム内で2年経過。
A「……お、らっきー♪」
F「どうなった?」
A「ん、おう。いちおう、総兵力17万、武将は60人近く集まった」
F「許昌の軍師は張松に交替、長安には張遼・張郃・禰衡、宛は人員の変化なし、兵数は各3万前後。洛陽には曹操が兵2万に徐晃、太史慈・甘寧・周泰……前に挙げた面子は全員いるみたいだな。素直に褒めよう……ん? 張繍?」
A「ああ、えーっと、新野を劉表が攻めたから上庸に逃れたンだが、上庸も攻められたから永安に逃れ、今度は劉璋に攻められて滅亡。降ってたから拾っといた。あと、北海の孔融が劉備に攻め滅ぼされて斬られてる」
F「そうか。……袁術の皇帝即位イベントは発生してたよな? 条件はいくつかあるが、このシナリオで始めれば初期状態からほとんど達成されているので、197年3月を待つだけの」
A「ああ、即位してたな。で、馬騰が天水・安定に、劉璋が下弁に進出している。外的な変化はそんなところだ」
F「よし、じゃぁそろそろ動こう。通常のプレイならまずは漢中を攻略して張魯を配下に加え、漢中を放棄するというのが次の一手になるが、今回はやらない」
A「待て、漢中を取って捨てるのか?」
F「欲しいのは張魯本人だ。この男は、シナリオ2以降では華佗と並んでただふたり、スキル治療を持っている。戦争中にダメージを受け、減った兵士はすぐに死亡するわけではなく、ある程度は負傷兵というかたちで生存している。ただし、戦闘力にはならない」
A「城とか関の上にいると回復するよな、少しずつ」
F「だ。スキル治療を使えば、隣接する味方武将の負傷兵を回復させることができる。通常プレイなら一刻も早く手に入れたいが、いつか逃げる華佗を数に入れては戦略が狂いかねん。そこで、君主だが張魯を確保するワケだ」
A「でも、都市は捨てる?」
F「他都市に進出する場合は、可能な限り接する敵を増やさないのが原則だからな。隣接都市が長安除いてすべて敵国な漢中を維持する人的・兵数的余裕は、現状の曹操軍にはない。よって、張魯だけ奪って逃げるという措置が必要になる。……通常プレイなら」
A「通常プレイに限定するのは?」
F「アイテムで、スキル治療を身につけることもできるンだ。もちろん華佗が持ってる青嚢書だが、治療には仙術という上位互換スキルがある。こちらは味方全部隊の負傷兵を回復させ、たまに行動済みの部隊を再行動させるもの」
A「待てい!?」
F「華佗や左慈といった特別武将しか持ってないがな。で、こっちのスキルを修得できるアイテムが、于吉の持っている太平清領道。先に触れた通り特別武将からはアイテムを没収できない。兵1だけ持たせて敵国にブっ込ませ、一度敵の君主に持たせてから、その君主を倒すという非常手段はあるが」
A「手間がかかる以前で、そんなモン持った呂布や袁紹とは戦いたくないぞ」
F「うむ、その通り。よって、もうひとつの手段を用いる。于吉を戦場で捕縛して奪うンだ」
A「それはそれでやりたくないな!?」
F「いや、大丈夫だ。何しろ特別武将は勇名がゼロだから、兵士は最低ラインの8000までしか持てない。兵数2万の君主級を相手にするよりよほど楽だ。……迂闊にブっ込まなければ」
A「迂闊にブっ込むと?」
F「5マス以内の敵部隊にダメージを与えて混乱させ、士気も下げるスキル幻術や、4マス以内の敵部隊の訓練度・士気を下げダメージも与えるスキル妖術の餌食になる」
A「仙人どもが相手ではなぁ……」
F「ともあれ、現在于吉は袁術のところにいるので、我が軍はこれより袁術と戦端を開く」
A「アイテムのために戦争始めていいモンかね?」
F「いや、うちの基本戦略からは外れていない。袁術領は汝南と寿春の2都市だが、これを収用しても譙が空白地の間は汝南に兵を配置する必要がない。都市はふたつ増えても増える軍事拠点はひとつで済むワケだ」
A「汝南に接しているのは宛・譙・寿春だけ……なるほど、譙が空いていれば汝南は安全だな」
F「呂布か劉備が動いてきたら汝南にも兵士は必要だが、そうなるまでは兵士を分散させないで済む。劉備・劉繇・孫策に接する寿春は軍事的な要地だから、さすがに兵をしっかり配置することになるな」
A「袁紹との決戦を前に、だけどな」
F「云うな。加えて、このシナリオはもっとも玉璽が手に入れやすい。他のシナリオでは自分で発見するか何進か曹操から奪わないといかんのだが、わずか2都市しか持たない袁術を倒せば手に入るんだ。これを手に入れると、君主の魅力が100になって、名声も100上がる」
A「あー、是非に手に入れておきたいアイテム」
F「ということで、目標としては汝南・寿春の攻略、太平清領道と玉璽の入手」
A「うーっす。じゃぁ、まずは汝南を攻めるぜ。宛に太史慈・甘寧・周泰・徐晃を移動させ、翌月典韋・許褚とともに出陣させる。5日後には張郃・張遼(いずれも強行を覚えない)と淵が、10日後には惇も到着する」
F「洛陽の守りに残るのが誰だ?」
A「曹操本人と曹仁・曹洪。楽進たちはいま内政担当になってる」
F「……まぁ大丈夫かな。汝南だが、戦術マップは山地扱いの森林がほとんどだ。鋒矢メインで陣形を敷くように」
A「あいよー。えーっと、敵は雷薄を太守に2人だが、城は3つ」
F「今回は大丈夫だと思うが、雷薄たちを倒しても最後の城は残しておけ」
A「んー?」
F「というのも、敵の援軍は、城が空いているならまず城の上に現れる。援軍を率いてきたのが君主なら、君主が城の上に乗るンだわ。味方部隊は城の周りを包囲し、ひとりは鶴翼の陣を敷いておいて、敵君主が現れたら一斉攻撃でねじ伏せるワケだ。うまく行けばこの戦闘で玉璽と太平清領道が手に入るが」
A「それまでに他の城ふたつを抑えられるか、だな」
F「うん。雷薄はともかくもうひとりが凌操(武力82)では苦戦を免れんな。先に引き抜いとけよ」
A「ちょっと失敗」
というわけで戦闘開始だが、雷薄はともかく凌操の相手に手間取り、すぐに5日が経過。袁術自ら率いる援軍4部隊が到着し、曹操軍の援軍も交えて混戦に。しかし、全員が武力90以上、いちばん低いのが夏侯淵の91と、武将の地力に勝る曹操軍が次第に袁術軍を圧倒し、袁術を除く全員を捕縛、袁術は寿春に撤退した。
F「取り逃がしたか……ちょっと残念」
A「俺の用兵がまずかったか?」
F「序盤の状況が整ってない段階はもう終わってるからなぁ。兵数が1万を超えている武将は、背後からの突撃でも一撃では粉砕できないからね。突き抜けて背を向けている状態で相手のターンを迎えることになる。今度はこっちが背後から攻撃されて、どうしても被害が大きくなるワケだ」
A「だなぁ……」
F「この段階では、向かってくる敵武将は鶴翼の陣で受け止め、左右背後と包囲していく。で、一斉攻撃で潰すようなスタイルが安全だろうな。突撃は最後のトドメに温存しておけ」
A「戦術の転換だな。ま、仕方ないだろう。えーっと、太史慈たち3人を残して他は撤収でいいな?」
F「そうだな。とりあえずは兵員の補充だがその前に、捕虜はどうなった」
A「問題の于吉は降らず、戦犯の凌操が降っただけだな。使うか?」
F「微妙……褒美は与えておくべきだが」
A「おっけ。じゃぁ長安・許昌・宛では予備兵で再編、洛陽では募兵でそのあと訓練。汝南に曹洪を送って、曹洪の兵士(訓練度100)で再編しよう」
F「洛陽がどうにも不安だな。袁術が片づいたら、寿春には太史慈たち3人に法正でもつけて残すが、徐晃は洛陽に戻しておけ。どうせ、次からの戦闘では曹操も出ることになるし」
A「君主は出さないンじゃなかったのか?」
F「さすがに、この段階で太平清領道を与えていい配下はいないぞ。仙術は曹操が食糧庫の上で使え」
A「あ、味方全員が回復するなら前線に出る必要はないのか。えーっと、それだと誰を出さないで……」
F「いちばん勇名が高い者を出さない、と云いたいところだが、距離的に夏侯惇だろう。それと、長安のふたりも控えて曹仁・曹洪を出しておけ。まだ一線級も鍛えはじめだが、二線級を意識しておく必要もある」
A「人事は頭を使うねェ……」
F「それ以前で、昇進を忘れるなよ? 戦争が終わったら将軍位を上げられないか、必ずチェックするように」
A「あ、そっか。そのあとで再編しないと戦った甲斐がないか」
F「しっかりしような、本当に。ま、寿春攻めは手間取らんだろう。後続の到着を待ってから前進しても、外交的に孤立している袁術なら敵に増援は来ない。汝南と違って平地がメインだから伏兵で混乱しまくることもないだろう」
A「云うな!」
寿春の戦術マップでは、川がマップの上三分の一を横断していて、上側の陸地に城がひとつ、下側の平野にふたつ。袁術は平野の城に陣取り、上の城には紀霊(武力83、勇名4730)を配備した。
15日めに全軍が到着した曹操軍は、食糧庫の上に曹操を残してようやっと前進。紀霊の前に許褚・典韋を残して他全軍が川を渡り、袁術を狙う素振りを見せれば、紀霊は城を捨てて後を追う。典韋が喰いついて足を止める隙に許褚が城を占領。さらに紀霊の背後から突撃して壊滅させた頃には、他の武将の始末も済んでいた。
最後の城で抵抗を続けていた袁術も、鶴翼の陣を敷いた徐晃の一斉攻撃で死に体に。甘寧がトドメの突撃で捕らえて城も占領し、皇帝を名乗った男の野望と国はこうして潰えた。
A「5万弱の軍勢相手に、1万少しの被害か……仙術の効果は凄いなぁ」
F「負傷兵が復帰して戦闘力になるからね。かなり早い段階で手に入って助かったよ。紀霊は欲しい、というか余所には渡したくないところだが、どうだ?」
A「ああ、降ったぞ。于吉と袁胤は降らなかったが、他は袁術含めて全員」
F「曹仁・曹洪を使うなら凌操・紀霊のが武力は高いンだが、寿命がなぁ。とりあえず、全員内政担当に切り替えて、どっかの都市に送りこんでおけ」
A「あいよー。曹仁・曹洪に徐晃は洛陽に帰還、太史慈たち3人と法正が寿春に駐留、汝南には満寵だけ……お?」
F「おや、動いたな」
まるで曹操が袁術を倒すのを見計らったかのように、北方でもついに、袁紹が動きだした。コーソンさんの拠点・北平を攻略し、コーソンさんを代県へと追いやっている。
F「まずいな、こっちに来たか。コーソンさんが襄平に退却してくれれば、洛陽の北はまだ安泰だったが、代県から晋陽まで落ち延びたら洛陽に接する」
A「情けないな、白馬将軍」
F「仕方ないだろう。このシナリオのコーソンさんは配下武将が趙雲ただひとり。周辺には敵対度の高い袁紹しかいないという、ほぼ最悪の立地だ。僕でもクリアは難しかったが……ん?」
A「どした?」
F「いまの簡易戦闘画面……コーソンさんの側には武将ひとりだけ?」
オプションで、他国の戦闘を「見ない」にしていると、よそでの戦闘は参戦している武将の人数とそれぞれの兵力が、顔の数と大きさで表現される簡易画面で済まされる。北平戦は袁紹側の8人を相手にコーソンさんひとりが抵抗し力尽きる様子が表示されていた。
F「……おいアキラ、趙雲の所在に心当たりは?」
A「やってみたら引き抜けたのでつい〜……」
F「ヒトが目を離してる間に何やってンだ、お前は!?」
そして、プレイヤーの浅慮を嘲笑うように、袁紹は曹操(プレイヤー)に付け入る隙も与えず代県へ侵攻。戦わずに晋陽へと落ち延びたコーソンさんだったが、その晋陽も攻められてあっさり滅亡している。
F「ええい、趙雲ひとりに目がくらんだ奴のせいで戦略が狂ったわ」
A「だ、だいじょーぶだって! コーソンさんひとりくらいの予定変更は、趙雲でカバーできる!」
F「それくらいの人材ではあるが、お前のせいでコーソンさんが滅んだンだぞ。とりあえず、晋陽にはどれくらいの兵士がいる?」
A「え、えーっと……3278?」
F「……え?」
A「つか、コーソンさんひとりしかおらんよ?」
F「……あー、あー、あー。戦場で撤退しそこなって捕らえられ、そのあとで解放されて落ち延びたから、北平の金とか米とかを持ちだせなかったンだ。だから、代県では戦わずに退却したし、晋陽ではたぶん食糧不足で士気が下がりすぎていて捕らえられた」
A「張繍と同じ末路か……えーっと、それじゃぁ?」
F「………………ああ、やれ」
人事→登用→コーソンさん……『運が向いてきたようですな』
A「晋陽もろとも、コーソンさんが寝返ってくれましたー!」
F「寿春から甘寧たちを呼びもどして現地に送り込め! 代県には5万、鄴には10万を超える兵が詰めている。放置していれば洛陽すら危うかったところだ。寿春には楽進・于禁・李典を派遣!」
A「おーらい! しかし、よくもまぁもと敵対君主に最前線都市なんか任せて、しかもフォローしなかったモンだな」
F「コーソンさんを滅ぼしたところで行動回数が尽きたのは明らかなんだが、何で武将を残さなかったのかは僕にも判らん。とにかく、この機に乗じて鄴を攻めるぞ」
A「どの機だよ!?」
F「洛陽に接している都市は5つあるが、許昌は最初から、宛と弘農は開始4ヶ月で抑えた。ここで晋陽を抑えたからには、鄴を攻略すれば洛陽には兵を置かずに済むようになる。洛陽の軍備をそのまま鄴に移動させれば、今度は許昌の軍備を陳留に移動させても問題がない。つまり、鄴を陥落とせば曹操軍の領土は2都市増える!」
A「計算ずくで動いてるンだなぁ……」
F「その計算を狂わせた責任は取ってもらうぞ。青釘の剣を趙雲に与えろ。そして、鄴を攻略せよ!」
だが、さすがは袁紹軍の本拠地だった。城6つのうち4つは平野で十字型に配され、その周囲では伏兵や火計を行ってくれと云わんばかりに森林が広がる。君主袁紹、軍師の田豊がそれぞれ兵2万、淳于瓊1万5000、文醜・審配・郭図らも1万超の兵を抱えていた。
洛陽・晋陽・許昌からの武将だけで10部隊を数えた曹操軍には援軍がいない。代県から顔良・沮授が駆けつけるまでに袁紹を討つべし! と意気揚がるものの、思わぬ淳于瓊の大兵力と田豊のスキル混乱、袁紹のスキル伏兵に、またしても曹洪隊が壊滅。この期に及んで2万の兵を後方に置いてはおけず、兵力を激減させた曹仁を食糧庫の守りに回して、曹操自らが戦列に加わった。
2万の兵を擁する無傷の部隊の参戦は大きく、奮闘していた淳于瓊もいい加減力尽きて捕われ、田豊も徐晃の一斉攻撃で壊滅。顔良たちが到着するはずだった10日めの前日、戦闘開始9日で、辛くも袁紹隊の撃破に成功した。
F「11万の兵を動員して3万を失い、しかし捕えた武将は誰も降らず、か」
A「大勢力同士の正面決戦がここまで熾烈だとはなぁ……。文醜と田豊は斬るべきじゃないか?」
F「やめなさい。捕虜は全員解放。向こうの被害だって小さくないンだから、勝ちは勝ちだ」
A「ぅへーい……で、洛陽から出陣した面子は全員鄴に残すと」
F「いや、予定変更だ。曹仁・曹洪は洛陽に戻せ。兵士の補充が終わり次第長安に派遣し、張遼・張郃は交替で鄴に」
A「西方が手薄にならないか?」
F「5日持ちこたえれば典韋・許褚が駆けつけるから、馬騰・馬超相手でも何とかなるとは思う。念のため、許褚に三尖刀(武力アップ)、夏侯惇には絶影(スキル強行)を与えろ。予定通り陳留に進出するが、趙雲もそっちだ」
A「うぃーっす……つーか、今後の予定はどうなってるンだ?」
F「まず平原(袁紹領)の攻略。このあとでやっと譙を占領して、濮陽の呂布を降す。返す刀で徐州(劉備領)を攻略すれば、中原での防衛線は平原・徐州だけですむようになる。問題は、平原攻略後徐州を抑えるまで、どうあがいても4都市(平原・陳留・譙、鄴か濮陽のどちらか)に防衛線を広げなければならんことだが」
A「さすがに基本戦略を維持できんか」
F「中原は都市と街道が入り組んでいるから……ん?」
A「どした?」
F「いや……なんか忘れてるような気がしてな。なーにかを見落としてる……? いや、忘れている……?」
A「あまりボケたことしないでくれよ」
F「うーん……そこまで致命的じゃないとは思うけど。とりあえず、劉備と同盟を組んでこい。12ヶ月でいいから」
A「いきなり何だ!?」
F「今回の被害は大きすぎる。軍備の再編が済むまでに焦が占領されても、劉備なら同盟しておけば兵のいない許昌・汝南には手を出してこないからな。だが、同盟期間が終わり次第徐州は攻略する」
A「非道いな!?」
F「タイムスケジュールとしては、同盟締結の13ヶ月後に徐州を攻略。軍備の再編と気力回復に1ヶ月と見て、11ヶ月後には濮陽を攻略しなければならん。譙の占領はその前月になるな」
A「となると、平原攻略には9ヶ月の時間的余裕があるワケか」
F「平原の兵が10万を数えている現状、戦後の再編時間は3ヶ月と見るべきか。半年後に平原を攻略する、のを目標に軍備の再編につとめてくれ」
A「あいよー……って、敵襲!? 晋陽に代県から14万の軍勢が攻め入ってきたぞ!」
F「迎撃しろ」
A「晋陽の軍はいま4万割ってるよ!」
F「前に云ったが、代県の兵は5万少しだ。袁紹軍の本隊が来るまでに先発隊を壊滅させればこっちの勝ちだが、曹操や夏侯惇・淵の到着は平原からの増援が来るより早い。守勢に回るな、攻勢に出ろ!」
A「どーなっても知らないからねーっ!?」
勝った。
A「どーにかなるモンだな……」
F「云ったろう、計算ずくで配備してるって。強行持ちの曹操は戦闘開始当日には鄴から到着してるし、5日後には陳留から両夏侯と鄴の本隊が来る。対して、袁紹軍の本隊はいま平原にいるから、到着には10日かかる。晋陽を抑えたのが影響してるのさ。こっちは鄴から晋陽までを5日で移動できるが、平原から代県に到着するには10日かかる」
A「その差が響いていると。向こうさんには強行持ちいないのか?」
F「えーっと……それこそ代県にいる沮授と顔良だな。袁紹や文醜も覚えるはずだが、まだ使えないらしい。中間都市の南皮では、まっとうな兵力持ってるのが1万少しの袁譚くらい。人材の質と量にそろそろ差が出てきてるのさ。……まぁ、この優位性が活きるのは晋陽防衛戦までだが。平原攻めでは5日後に沮授たちが来る」
A「苦戦だろうなー……あれ、陳珪だ」
F「陳珪老? 劉備からの使者か?」
A「だな。えーっと……戦車を研究しませんかって」
F「……うーん、微妙に思えるが、引き受けていい話だな」
A「えーっと?」
F「研究は、特定の陣形を強化する兵器を開発するンだが、以前触れたように相手君主もコレを持つンだわ。戦車は鋒矢の陣の守備力を強化するもので、兵器の中では最短の6ヶ月後に完成する。張飛にこんなモン持たせていいものかと本気で思うが成算はある。これから北方での戦闘を勝ち抜くンだから、持っておいて損はない」
A「じゃぁ承知で……となると、平原攻略は半年後だな?」
F「ああ、それまでしっかり軍備を増強だ」