<レースのレベル>
レースのレベルを考える前に,
レースのペースとは,何であるのか?
を考えて見ます。
よく,新聞などで,H や M や S のような記号で,ハイペースやスローペースを表しているのを見ます。 たぶん,そのレースのクラスでの標準と較べてどうなのか? を表しているのだと思います。 ただし,このようなものでは,パソコン上で利用するには少し具合が悪い気がするのでやはりラップを保存するのが良い気がします。
以下は,ある 2000芝 の レースラップ です。
12.8-11.4-10.8-11.5-11.5-11.9-11.8-12.2-11.8-12.3
勝ちタイムは,1.58.0 で,レース上がりは,36.3 になります。
このレースが何なのか,すぐにわかった人は,ラップに関してずいぶん研究している方なので,自分なりの考えでペースを設定してください。 私が説明しなくてもいいでしょう。
f-Lapでは,ペースをどこから求めるか?について,ずいぶんと研究しました。
以下のようにいろいろと考えられます。 (注: 赤い箇所を検討に入れるということです)
1. 平均ラップを較べる
12.8-11.4-10.8-11.5-11.5-11.9-11.8-12.2-11.8-12.3
この場合は,11.80 になります。 しかし,これは誰も採用しないでしょう ...
2. 1000m追加時点のタイムを較べる
12.8-11.4-10.8-11.5-11.5-11.9-11.8-12.2-11.8-12.3
この場合は,58.0 になります。 これを基準と較べることになります。 たぶん,このような方法で,ハイペースとかスローペースとかを判断している場合も多そうです。
ただ,私はこの方法は,具合が悪いと考えています。
競馬が,持ちタイムどおりに決まらないのは,各競馬場での馬場差もありますが,
集団が途中同じペースで走る
ことが1番大きいと考えています。 上記の方法だと,この途中同じペースで集団が走るという感じを捕らえていない気がするからです。
3.
4ハロン目から残り3ハロン手前までを平均する
12.8-11.4-10.8-11.5-11.5-11.9-11.8-12.2-11.8-12.3
この場合は,11.67 になります。 この間はこのペースでみんな走っていると気がします。 ただ,このレースラップはその地点で先頭だった馬が通過したラップです。 残り3ハロン地点ではまだ集団が逃げ馬に追いついていない場合があります。
4. 3ハロン目から残り2ハロン手前までを平均する
12.8-11.4-10.8-11.5-11.5-11.9-11.8-12.2-11.8-12.3
この場合は,11.62 になります。 この方法だと,金鯱賞での,サイレンススズカがゴールした時,他の馬は4コーナーを回ったところだった ... などというとんでもないレースでない限りうまく行きそうな気がします。
5. 3ハロン目から残り3ハロン手前までを平均する
12.8-11.4-10.8-11.5-11.5-11.9-11.8-12.2-11.8-12.3
この場合は,11.50 になります。
前置きは,このくらいにして,f-Lap では,
のような感じで,ペース を設定することにしました。奇数ハロンのレースは,500m になります。
なんで,400m からか? というのは,400mくらいで流れが落ち着くだろうということです。
今まで,先行馬を中心に見てきました。
ラップ指数(助走)を中心見てきましたが,ここで,ラップ分析に新しい概念を取り入ります。簡単に書くと,
中間ラップ(3ハロン目から残り4ハロン目までのハロンラップ平均)をペースの判定に使ったらどうだろうか?
ということになります。
そうすれば,
タイムが同じレースでもその中間ラップがレベルを暗示している
のでは? と考えています。
今,このヘルプ書いているのは,2003年末ですが,2000年ごろは,レースがスローペースのレースが多いとよく言われました。
ではここで,2000年のジャパンカップは,本当にスローペースで行われたのか?を上で定義した中間ラップで過去のレースと比べてみます。(いずれの年も Bコース 4日目 で行われています。)
中間ラップ(f-Lapではこれ以降ペースと 呼びます。) を見る限りは,スローペースとは言えないようです。
勝ち馬
Time
ラップ (中間)
上がり
2000
テイエムオペラオー
2.26.1
12.32 (12.20)
35.2
1999
スペシャルウィーク
2.25.5
12.18 (12.10)
35.9
1998
エルコンドルパサー
2.25.9
12.32 (12.26)
35.0
1997
ピルサドスキー
2.25.8
12.36 (12.36)
34.6
1996
シングススピール
2.23.8
12.00 (12.00)
35.8
東京芝2400mの900万(現在の1000万)の1,2着の平均の修正値(過去5年)は,以下のようになっています。
1996〜2000年
東京芝2400m
900万1,2着平均Time
ラップ (中間)
上がり
2.27.19
12.43 (12.46)
35.34
900万(現在の1000万)クラスの中間ラップが,12.46 なのと比べると,ジャパンカップの中間ラップが速いことがわかります。 (1997年のピルサドスキーが優勝した年は,遅かったのですが... )
その 2000年のジャパンカップの アグネスフライト号 と エアシャカール号 の結果は残念なもの(2.27.6,2.28.2)となりました。
2頭ともその年のダービーでは 2.26.2 で走っていたのにです。 2000年のジャパンカップの結果が, 2.26.1 だったのだから,わずか 0.1秒 です。 しかも,Bコース 4日目というのも同じで馬場状態にそれほど大差があったとは思えません。
では,どうして通用しなかったのでしょうか? 3才(当時の数え方だと4歳です)だからだったと片付けるのは簡単です。 でも,それだと話が膨らまないので...
ということで,二頭が出走したダービーのラップを見てください。
2000年ダービー
Time
ラップ (中間)
上がり
1着
アグネスフライト
2.26.2
12.31 (12.43)
35.4
2着
エアシャカール
2.26.2
12.29 (12.43)
35.6
2000年のダービーの中間ラップは,12.43でした。
これは先に上げた,900万クラス(12.46) と近い値です。
それが,ジャパンカップでは,12.20で走らなければならなかったわけですから ,しまいが伸びを欠いたのもわかるような気がします。
では,その2000年のジャパンカップで優勝した テイエムオペラオー号 のダービーの成績はどうだったのでしょうか?
1999年ダービー
Time
ラップ (中間)
上がり
1着
アドマイヤベガ
2.25.3
12.32 (12.21)
34.4
2着
ナリタトップロード
2.25.4
12.27 (12.21)
35.0
3着
テイエムオペラオー
2.25.6
12.26 (12.21)
35.3
中間ラップは,12.21でした。 そうです,2000年のジャパンカップ(12.20)と非常に近いラップでした。
これは,偶然でしょうか?
同じダービー馬で,
ダービーを走った年(1998年)は3着
になり,そして
1999年のジャパンカップを勝った
スペシャルウィーク号 のダービーの中間ラップはどうだったのでしょうか?
1998年ダービー
Time
ラップ (中間)
上がり
1着
スペシャルウィーク
2.25.8
12.28 (12.29)
35.3
中間ラップは,12.29でした。 実際のレースは,12.10という中間ラップでしたが,見事期待にこたえてくれました。
(すみません。一番左には,同競馬場勝ちのレースが入るハズなんですが,前3走以内に同競馬場勝ちがあると,それと重複してしまう仕様になっているので, 本来なら,ダービーの成績が入るハズなんですが,残念ながら,抜けてしまっています。正式版では,前3走以内に同競馬場勝ちがあっても,それ以前に,同場同距離勝ちがあれば,設定する形になっています。)
新しいところでは,2003年のジャパンカップでは,
のように,二頭の3歳馬に 楽マーク が付きました。
で,ネオユニヴァース号の過去走を見てみると,上記のように東京のダービーを勝っています。
上記の新聞だとちょっと見れないのですが,ソフトで確認すると,中間ラップは,12.67 になっていました。
なので,ちょっと厳しいのではないのか? ということがわかります。ただし,最終同場勝の箇所で差してきているので,コース相性がよく,今回のペースが落ち着いたものになれば,突き抜ける可能性も捨てきれないので,簡単には捨てられないところもあります。
つまり,楽 マークと 差マーク の組み合わせの場合,注意が必要ということです。
ラップ指数的には,先の先行馬の時に見たように,前走で,4コーナーで前へ行っていた競走馬の方が,結果が芳しいということで,ここはザッツザプレンティ号を選択するのが無難なところとなります。
長い距離だけでなく,1600mでも,ペースはあるので,似たようことも言えます。
2003年の マイルチャンピオンシップ ですが,一番人気の サイドワインダー号
の場合,前2走時で京都の1600芝を勝っていますが,強烈な差し脚で勝っているんですが,ラップ指数が -3 とかなり弱くなっています。 また,レースのレベルを表す中間ラップは,12.03 となっており,
を見ると,わかるように,マイルチャンピオンシップは,ラップ指数もペース指数もかなり高いことがわかります。
かなり前のマイルチャンピオンシップになってしまいますが,同じように過去に京都の1600m芝を勝っていた競走馬で,マイルチャンピオンシップで2着になった馬がいます。
シンザン記念ですがラップ指数的には, -19 だったので先行したのにもかかわらず赤くなっていないのですが,中間ラップを見ると,11.70 となっていました。
このように見てくると,
中間ラップはレースのペースである
中間ラップはレースのレベルを暗示している
ということが,少しは証明できたような気がします。
※ 距離が短くなるほど,中間ラップより先行ラップを含めたラップ全体を見た方がいいようです。