ツマキチョウ

Anthocharis scolymus



概要

食餌 主食:アブラナ科野生種のハタザオイヌガラシタネツケバナコンロンソウナズナ、栽培種のセイヨウアブラナダイコンなど。 花や蕾、若果、茎を食べ、葉を食べることは稀。県内では、山野でイヌガラシとタネツケバナ類、人家周辺でセイヨウアブラナが利用されることが多いようだ。
代替:タネツケバナ属(コンロンソウ、ヒロハコンロンソウ、オオバタネツケバナ、ジャニンジン)、ハタザオ属(ヤマハタザオ、ハタザオ、ハマハタザオ)、イヌガラシ属(スカシタゴボウ、ミミイヌガラシ)、ヤマガラシ属(ヤマガラシ)、マメグンバイナズナ属(マメグンバイナズナ)などの野生種、ダイコン属(ダイコン、ハマダイコン)、アブラナ属(セイヨウアブラナ、キャベツ、カブ、ハクサイ)など、およそほとんどすべてのアブラナ科植物が利用可能だが、飼育途中での食草の交換はあまり好まないようだ。
増殖:ナズナ。いわゆる「ペンペン草」である。山林〜市街地まで幅広く生育しているため、わざわざ増殖する必要はなかろう。草取りついでにそこいらから採取してくれば十分である。
採集 ステージ:幼虫(中齢以降)。卵は日当たりのよい林縁に生育する食草の蕾や花梗に1個ずつ産付されるので、丹念に探せばみつかる。幼虫は各齢期を通じて食草の上部で生活し、茎の下部などに下りることはほとんどないので探すのはそれほど難しくない。蛹はほとんど例外なく食草を離れて広範囲に分散する傾向が強いので、探すのは結構難しい。
適期:卵は4月中旬〜下旬。幼虫は4月下旬〜5月下旬、蛹は6月〜翌年3月ごろまで。
難度 幼虫:比較的容易。食草さえ切らさなければほとんど手がかからないくらいカンタン。
成虫:やや困難。移動性はやや強く、明るい環境を好むので難しいが、吸蜜植物さえ用意しておけば、室内でもある程度は飼育可能である。
採卵:人工交配については不明。情報を乞う。交尾済みの♀は、食草さえ用意してやれば比較的簡単に産卵する。
飼育法  花や蕾、若果は葉と比べて腐りやすいので、密閉容器での飼育は避けたほうが無難。食草はいずれも水揚げが非常によいので花瓶挿しでの開放飼育が適している。また、本種は産付された食草個体への執着がきわめて強く、蛹化の際を除いて食草を離れることはほとんどないので、ネットがけも必要ない。 ただ、若齢期には共食いの傾向が強いので、1個体ずつ分けて飼育したほうがよい。また、年1化性で蛹期間が非常に長い種であるため、休眠蛹の保管には注意が必要である。
備考  野外で採取した幼虫や蛹はヒメバチの一種が寄生していることがあるが、蛹化するまで判別できない。ただ、寄生率はそれほど高くないようである。

記録

採集 記録 蛹型 性別 食餌 備考
St Date Loc 産卵 孵化 終齢 前蛹 蛹化 羽化 産卵 給餌
2005年
1 E 2005/4/18 四街道市千代田 4/17 4/24 5/8 5/14 5/16   褐色   セイヨウアブラナ セイヨウアブラナ  
2 E 2005/4/18 四街道市千代田 4/17 4/24 5/9 5/16 5/17   褐色   セイヨウアブラナ セイヨウアブラナ  
3 E 2005/4/19 四街道市千代田 4/18 4/24 5/11 5/18 5/19   褐色   セイヨウアブラナ セイヨウアブラナ  
4 E 2005/4/22 四街道市千代田 4/22 4/27 5/14 5/22 5/23   褐色   セイヨウアブラナ セイヨウアブラナ  
※採集総数12個体。現在のところ死亡8(L[1]:3、L[2]:1、L[3]:1、LP:3)、いずれも死因不明。

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