分布 |
国内: |
日本本土全域。島嶼では佐渡、隠岐、対馬、壱岐、五島列島、種子島、屋久島。垂直分布は比較的広く、平地~標高1,600m前後の山地まで分布し、山地性の近縁種、クモマツマキチョウと混生することもある。 |
県内: |
市街地を除きほぼ全域に棲息するが、やや局地的な傾向を示す。 |
国外: |
朝鮮半島、中国大陸(北部~中部)。日本産は分布の東限にあたる。 |
変異 |
形態: |
比較的顕著な地理的変異が知られるが、亜種区分は認められていない。 |
季節: |
- |
性差: |
異型。一般に♀は前翅頂に橙色部をもたず白色。稀に♀で♂のような斑紋をもつ個体(橙色型)が出現することがある。 |
生態 |
環境: |
食草の自生する樹林周辺。日当たりのよい林縁的環境を好む。 |
発生: |
年1回。3月下旬~4月上旬に姿を現すが、その年の気候により若干前後する。出現期間は長くても2週間~3週間程度で、県内では5月上旬には姿を消す。 |
越冬: |
蛹。食草付近のさまざまなものに付着している。 |
行動: |
昼行性。飛翔は比較的緩やかだが、地上1m~2m程度の高さを細かくはばたいて直線的に飛 び、一旦飛び立つとなかなかとまらない。飛び方は同じ亜科のモンシロチョウなどよりはモンキチョウに似ている。とまるときは翅を半開するか閉じる。♂には谷筋や山道などで蝶道をつくる習性がある。活動は晴天時に限られ、曇天時や雨天時には活動しない。また、晴天時でも日がかげると活動を停止することがある。卵は食草の蕾や花梗に産付されるが、食草1株につき1個が普通で、複数産付されることは稀である。 |
食性 |
幼虫: |
食植性/花・蕾・若果。アブラナ科のハタザオ、イヌガラシ、タネツケバナ、コンロンソウ、ナズナなど野生種が主。他にはダイコンやカラシナ、アブラナなどの栽培種。葉を食べることは少ない。 |
成虫: |
食植性/花蜜。訪花性は強く、タネツケバナ、タンポポ類、スミレ類、 ムラサキケマン、オオイヌノフグリ、ダイコン類などさまざまな花で吸蜜するが、黄色系の花を好む。吸水性はほとんどない。 |
類似種: |
クモマツマキチョウに似るが、県内には分布していない。 |
保 護: |
指定されていない。 |
その他: |
ギフチョウ、ヒメギフチョウ、コツバメやミヤマセセリなどと共にSpring Ephemeralと呼ばれる春の使者的存在。発生地での個体数は少なくはない。 |
天敵 |
捕獲: |
幼虫はサシガメ類、クチブトカメムシ類など。成虫は造網性クモ類など。 |
寄生: |
幼虫に寄生し蛹から脱出するヒメバチ科コンボウアメバチ亜科のエゾコンボウアメバチ(Gravenhorstia (Erigorgus) yezonis (Uchida, 1928))が知られる。 |