クリ

(ブナ科 クリ属)


 雌雄同株落葉高木大高木。通常は高さ15m~20m、中には30mに達する巨木もある。食用のドングリとして秋の味覚の代表格。多くの園芸品種があって、一般に野生種はシバグリ、栽培種はタンバグリなどと呼ばれる。栽培種は野生種より実は大きいが、味は野生種のほうが上。材の比重は軽いが堅緻で、タンニン分を多く含むことから耐水性に優れているため建築材として非常に有用。青森の三内丸山遺跡で発見された大型建物の柱に利用されたのが本種であることは有名である。戦前に鉄道の枕木として大量に伐採されたため、人里に近い場所では、古くから巨木はほとんど残っていない。わが国での利用の歴史は古く、縄文時代にはすでに栽培されていたという。


分布:北海道(渡島半島)、本州、四国、九州。南限は屋久島。国外では朝鮮半島南部に分布する。冷温帯下部~暖温帯に汎く分布する。低山地~山地に自生して主に混交林を形成する。県内では全域に自生して混交林を形成するほか、果樹園として植栽され純林を形成する。

樹幹:淡黒褐色。樹皮は縦に浅く細く裂ける。表皮のコルク層はほとんど認められない。幹は直立する。
枝葉:単葉。葉柄は明瞭で葉は互生する。長さ10~15㎝程度で顕著な羽状脈をもち、側脈は葉縁に達し17対程度。狭長楕円形、基部は丸く先端は尖る。側縁には針状で小さくやや粗い鋸歯がある。晩秋に黄葉する。
単性虫媒花。花期は5月中旬~6月上旬 で萌芽より遅れる。雄花序は長さ10~15㎝程度の尾状花序で黄白色 を呈し、本年枝の下部からやや上向きにつく。その基部に雌花が固まってつくが、結実するのは2個程度。独特の異臭がある。
果実堅果。大きさはさまざまで平たく幅広の水滴形。殻斗は球形、総苞片が非常に細長い棘状(イガ)となり殻斗を覆う。概形はウニ状。春に受粉しその秋に成熟する1年成。食用として栽培されることも多い。動物散布型
増殖法実生挿し木取り木(高取)が可能。実生の場合、種子の保存性がほとんどないので、秋に採取した種子はすぐに植えつける。
保護:指定されていない。
その他:俗に、野生種はシバグリ、栽培種はタンバグリと呼ばれる。材は主にシイタケ栽培の原木として利用されている。

壮年木 壮年木の樹皮 休眠芽

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