分布 |
国内: |
本土全域。島嶼では佐渡、伊豆諸島、隠岐、対馬、五島列島、南西諸島全域。 |
県内: |
市街地を除き全域に棲息する。わずかに局地的な傾向を示すが、産地での個体数は多い。 |
国外: |
中国大陸中南部~ヒマラヤ、ジャワに分布し、いくつかの亜種に分けられている。本亜種は日本~中国大陸中南部産を指す。原名亜種は台湾、インドシナ以南~ヒマラヤ産。 |
変異 |
形態: |
奄美大島以南では♀の斑紋が異なるが、亜種区分は認められていない。 |
季節: |
知られていない。 |
性差: |
未成熟個体は同型。成熟個体は異型。♂は成熟すると全身が黒化し、 翅胸部と腹部が青白粉で覆われる。 |
生態 |
環境: |
止水性。平地~丘陵地。水辺に抽水植物の多い池沼。底質は砂泥、水質はやや濁ったあるいは濁った陸水。樹林に囲まれたやや薄暗い環境を好む。 |
発生: |
年1回。5月中旬~9月中旬に見られる。発生期に幅があるため、様々な成熟段階のものが混生する。 |
越冬: |
幼虫(齢数不定)。 |
行動: |
昼行性。静止時は翅を開いて平らにとまる。飛翔は敏速。羽化直後の未熟な個体は♂♀共に水辺を離れ、付近の雑木林の林縁などやや薄暗い場所で栄養飛翔を行う。成熟した♂は水辺に戻り、その周辺の杭や植物茎上に枝先つかみでとまり、縄張りを確保し、♀がその周辺に現れるのを待つ。♀は基本的に水域周辺の樹林内などでじっとしているが、午後になると水域上を飛ぶようになる。♂は♀を見つけると激しくアタックし、直ちに交尾する。交尾時間はやや長く、館山市(県立館山野鳥の森)での7月上旬の観察では10分~20分程度であった。交尾が終了すると水辺に戻って連結を解き、♂は♀の周りを飛んだり♀をつついたりして産卵を促す。♀は単独で連続打水産卵するが、♂はその際上空でホバリングし、♀を警護する。 |
食性 |
幼虫: |
捕食性。若齢幼虫はミジンコ類、中齢以降はユスリカ類やハナアブ類 、カゲロウ類、カワゲラ類、トビケラ類などの幼虫、両生類幼生(オタマジャクシ)、小型魚類(メダカ、クチボソなど)。 |
成虫: |
捕食性。小型~中型の鱗翅目、ハエ、ユスリカ、アブ、小型のトンボ類などの飛翔性昆虫のほか、カゲロウ類、カワゲラ類、トビケラ類など。 |
類似種: |
シオカラトンボに似るが、大きさと斑紋が異なる。 |
保 護: |
指定されていない。 |
その他: |
普通種ではあるが、シオカラトンボより個体数は少ない。 |
天敵 |
捕獲: |
ヤンマ類や大型のサナエトンボ類、ハエトリグモ類、造網性クモ類。 |
寄生: |
卵はタマゴコバチ科のHydrophylita aquivolans が知られる。 |