分布 |
国内: |
本州(岩手以南)、四国、九州、南西諸島。伊豆諸島以西のほぼ全ての周辺島嶼。 |
県内: |
市街地を含め全域に棲息する。 |
国外: |
朝鮮半島南部、台湾、中国(中南部)~インドシナ、インド、ヒマラヤ、カシミール、パキスタンに分布する。原名亜種は中国~ヒマラヤ産で標式産地はヒマラヤ。 |
変異 |
形態: |
日本産は吐喝喇列島の悪石島以北と小宝島以南(ssp. okinawana (Matsumura, 1929))の2亜種に分けられる。 |
季節: |
日本本土亜種では明瞭。低温型(春秋)、高温型(夏)が知られる。 |
性差: |
異型。♀は翅表の黒褐色部が♂より広い。 |
生態 |
環境: |
田畑周辺や人家近く、野原や路傍などの比較的開けた環境 。一般に平地性の種で、山地には少ない。 |
発生: |
多化性。通常年4回~5回。寒冷地では3回~4回。暖地では5~6回、南西諸島では周年発生している。夏季は約 1ヶ月で世代を終えることが知られているため、実際にはもっと多いものと考えられる。関東以北では特に秋に個体数が増加する。 |
越冬: |
幼虫(3齢~終齢)。幼虫は秋に気温が下がると食草を下り、地上の落ち葉の隙間や石の下などで越冬する。巣などは作らない。冬季でも完全には休眠せず、温暖な日には食草に登って摂食する。 |
行動: |
昼行性。飛翔は緩やかで長く飛び続けることはなく、すぐに草上や地上に翅を開いてとまる。夏までは地表近くを低く飛ぶが、秋の午後には低木の樹冠周辺を飛ぶこともある。一生を通じて食草に依存し、その群落から遠く離れることはない。産卵は食草の葉裏などに1個ずつ行われる。 |
食性 |
幼虫: |
食植性/葉・花・蕾・若果・茎。カタバミ科のカタバミ、ミヤマカタバミ。平地では前者、山地では後者が利用される。若齢幼虫は葉裏から舐めとるように食べて表皮組織を残すが、中齢以降は葉のみならず花や実、茎など何でも食べる。 |
成虫: |
食植性/花蜜。訪花性は強く、タンポポ類、ヒメジョオン、ハルジオン、シロツメクサ、キツネノマゴ、ツルボ 、センダングサ類など多くの花で吸蜜するが、特にカタバミによく集まる。高温型の♂は湿地で吸水することもある。 |
類似種: |
シルビアシジミと酷似するが、裏面の斑紋が相違する。 |
保 護: |
指定されていない。 |
その他: |
もっとも身近なシジミチョウのひとつで、個体数も多い。園芸種のムラサキカタバミやイモカタバミでも飼育できる。 |
天敵 |
捕獲: |
幼虫はアシナガバチ類、スズメバチ類、サシガメ類、クチブトカメムシ類、ハエトリグモ類、ハナグモ類。成虫は、ヤンマ類、トンボ類、ヤブキリ、ウマオイなどの捕食性キリギリス類、オオカマキリ、チョウセンカマキリなどの大型カマキリ類、造網性クモ類、ハナグモ類など。 |
寄生: |
終齢幼虫から蛹化脱出するコマユバチの一種が知られるが未同定。 ほかにヤドリバエ科のサンセイハリバエ(Aplomyia confinis (Fallen))、ヒメバチ科ヒメバチ亜科のツバメシジミセアカヒメバチ(Neotypus nobilitator iwatensis Uchida, 1930)が知られる。 |