分布 |
国内: |
日本全土。ほとんどの島嶼からも知られる。垂直分布は日本産のチョウの中で、キアゲハなどと共に最も広い。 |
県内: |
市街地を含めほぼ全域に棲息する。 |
国外: |
朝鮮半島、沿海州、樺太、台湾、中国大陸、ヒマラヤ、インド、中央アジア~欧州(東部)に汎く分布する。原名亜種は欧州~中央アジア産をさし、標式産地はロシア南部の「サレプタ」。本亜種は日本産の他に中国大陸産と樺太産を含む。 |
変異 |
形態: |
若干の地域差が知られるが、国内での亜種区分は認められていない。また地域的に前翅表の黒色部に白色部を欠く個体が見られ、クツカケモンキチョウと呼ばれている。 |
季節: |
比較的明瞭。大きさと地色、斑紋が相違する。春型(第1化)と夏型(第2化~)が知られる。 |
性差: |
異型またはほぼ同型。♀は♂より翅形が若干横長で丸みを帯びる。♀は遺伝的多型で、♂と同色の型のほか地色が白色の型が知られ、こちらが優性。 |
生態 |
環境: |
耕作地や草原、牧場、堤防など、日当たりのよい開けた草原的環境を好む。 |
発生: |
多化性。通常年3回~4回。 4月下旬頃に姿を現す。本州南部以南では5回~6回、九州では5回~7回程度。南西諸島では周年発生している。 |
越冬: |
通常は幼虫(3齢)。九州南部では成虫や卵でも冬を越す。 |
行動: |
昼行性。飛翔は敏速で、比較的低い位置を直線的に飛ぶ。移動性は非常に強い。とまるときに翅を開くことはない。♀は多型だが、実験では♂は白色翅型の♀に強く誘引されるという。産卵は食草の葉表に1卵ずつ行われることが多いが、2個~3個の場合もある。 |
食性 |
幼虫: |
食植性/葉。マメ科のシロツメクサが主。他にはミヤコグサ、クララ、コマツナギ、クサフジ、ダイズ、ゲンゲ、ハリエンジュ、シナガワハギなどがあるが、季節的に変化する。 |
成虫: |
食植性/花蜜。訪花性は強く、タンポポ類、アザミ類、レンゲソウ、シオン類、ノイバラ、ハナショウブ 、ユリ類、シロツメクサ、ツルボ、ハギ類、キク類、センダングサ類など非常にさまざまな花で吸蜜するが、草原性の草本の花を好む。♂は湿地でよく吸水し、稀に♀も吸水することがある。 |
類似種: |
ミヤマモンキチョウに酷似するが、県内には分布しない。 |
保 護: |
指定されていない。 |
その他: |
- |
天敵 |
捕獲: |
幼虫はアシナガバチ類、スズメバチ類、サシガメ類、クチブトカメムシ類、ハエトリグモ類、ハナグモ類。成虫は、ヤンマ類、トンボ類、ヤブキリ 、ウマオイなどの捕食性キリギリス類、オオカマキリ、チョウセンカマキリなどの大型カマキリ類、造網性クモ類、ハナグモ類など。 |
寄生: |
幼虫に寄生し亜終齢もしくは終齢幼虫から脱出するモンキサムライコマユバチなどのコマユバチ類、クロコヤドリバエ、モンキヤドリバエ、Bactromyia aurulenta (Meigen)、サンセイハリバエ(Aplomyia confinis (Fallen))、エゾシロヤドリバエ(Phryxe vulgaris (Fallen))などのヤドリバエ類。ほかには蛹から脱出するヒメバエ類が知られるが未同定。 |