分布 |
国内: |
北海道(南部)、本州、四国、九州。島嶼では佐渡、伊豆、隠岐、対馬、壱岐、南西諸島全域。土着地は関東以南と考えられているが不明 。 |
県内: |
晩春までは県南部のみ。夏以降は市街地を含めた県内全域に広がる。 |
国外: |
朝鮮半島、台湾、中国(東北部~南西部)、インドシナ~インド北部、ヒマラヤ、マレー半島 、ジャワ、スマトラ、ボルネオ、セレベス。原名亜種は日本産のほか、中国(北部~中部)、朝鮮半島産を含む。標式産地は「北京」。 |
変異 |
形態: |
国内での地理的変異は知られていない。 |
季節: |
不明瞭。大きさが相違するが斑紋などには現れない 。春型(第1化)と夏型(第2化~)が知られる。 |
性差: |
ほぼ同型。斑紋に差がなく、♀は♂より大型で、翅形が丸みを帯びる程度。 |
生態 |
環境: |
耕作地や人家の周辺など。日当たりのよい開けた草原的環境を好む。 |
発生: |
多化性。土着地では年4回~5回程度。南西諸島ではそれ以上 。夏~秋に急激に個体数を増す。 |
越冬: |
幼虫(齢数不定)。食草の葉を巻いて巣をつくり、その中に潜む。 |
行動: |
昼行性。飛翔は比較的敏速で、直線的に飛ぶ。大発生した夏型は大群で一定方向に移動することが知られる。ウラナミシジミやチャバネセセリなどと同様に毎年気温の上昇と共に棲息地を北に広げ、冬の訪れと共に土着地以外では死滅するというサイクルを繰り返している。日光浴などの際には後翅全開、前翅半開の姿勢をとる。 |
食性 |
幼虫: |
食植性/葉。イネ科のイネ、ススキ、チガヤ、オヒシバ、イヌビエ、アシ、エノコログサ、クサヨシが主 。他にはカヤツリグサ科のシラスゲ、タケ科のハチク、アズマネザサなど。葉を食べる。 |
成虫: |
食植性/花蜜。訪花性は強く、タンポポ類、アザミ類、シオン類、ウツギ、イボタノキ、シシウド、オカトラノオ、ハギ類、セイタカアワダチソウ、キク類、ツルボなどさまざまな花で吸蜜する。 |
類似種: |
オオチャバネセセリに酷似するが、後翅の斑紋が相違する。 |
保 護: |
指定されていない。 |
その他: |
幼虫はイネの害虫"イネツトムシ"として有名。 |
天敵 |
捕獲: |
幼虫はアシナガバチ類やサシガメ類、クチブトカメムシ類、ハエトリグモ類。成虫は、ヤンマ類、トンボ類、大型~中型カマキリ類、造網性クモ類。 |
寄生: |
アカヒゲフシヒメバチ(幼虫)。ヤドリバエ科のムラタヒゲナガハリバエ(Bessa parallela (Meigen))、ノコギリハリバエ(Compsilura concinnata (Meigen))、トガリハリバエ(Thecocarcelia oculata (Baranov))、Thecocarcelia sumatrensis (Townsend)、ウダツハリバエ(Argyrophylax apta (Walker))、マダラヤドリバエ(Sturmia bella (Meigen))、ギンガオハリバエ(Nemorilla floralis (Fallen))、Halidaia aurea Egger。ヒメバチ科コンボウアメバチ亜科のスズキコンボウアメバチ(Agrypon suzukii (Matsumura, 1912))、ヒゲナガコンボウアメバチ(Agrypon japonicum Uchida, 1928) 、チビアメバチ亜科のマツヤマチビアメバチ(Casinaria matsuyamensis (Uchida, 1928))、ホウネンタワラチビアメバチ(Charops bicolor (Szépligeti, 1906))、ヒメバチ亜科のアカエグリヒメバチ(Ulesta agitata (Matsumura et Uchida, 1926))、ヒラタヒメバチ亜科のアカヒゲフシヒメバチ(Gregopimpla kuwanae (Viereck, 1912))、イチモンジヒラタヒメバチ(Pimpla aethiops Curtis, 1828)、マイマイヒラタヒメバチ(Pimpla luctuosa Smith, 1874)、チャイロツヤヒラタヒメバチ(Theronia (Theronia) atalantae gestator (Thunberg, 1822))などが知られる。 |