第36回
東京都図画工作研究会
城東大会
1997.12.5
The kathusika Arts Project
分科会 「図工のアナ・デジ」
Art education promote being analog or being digital.
提案者
高橋香苗 |
関川由美子 |
長久保健二 |
青戸小学校 |
南奥戸小学校 |
西小菅小学校 |
助言者
栗田真司 |
青地 一 |
山梨大学助教授 |
台東区立待乳山小学校 |
- 研究テーマについて
- 図工教育の存続が危ぶまれている今も、私たち現場の教師は「物を作る・絵を描く・表現する」ことの、子供にとっての重要さを知っている。今なぜ図工かというより、今だからこそなお図工の原点を探りたい。この問いを「世の中の変化とともに変わり続ける子どもの世界」と「気になるデジタルツールとの関わり」で会話を切り開いてみようと思う。葛飾区では各学校7台のコンピュータが配置されて模索が始まったが、デジタルの波が子どもの遊び・家庭生活におしよせるさまに驚いている。
- こういう時代だから「手で触れ・ものとまみれ・ほのかなもの・沈黙したもの」がこどもの感性を呼び覚まし開くことを言いたい気がする。そしてコンピュータとは関わらずには、暮らす(生きていく)ことの、まず考えられない時代を生きていく子どもたちについて見つめていきたいと思う。
- 以下略
- 研究の経過
- 現在葛飾区では各校7台のコンピュータが配置され、日常の授業で利用されている。図工部でも多様な価値観を持ちながら、コンピュータと関わり授業研究を進めてきた。−略−
- ●アンケートから(1部)
- ・(コンピュータは)これまでの表現方法では、興味の持てない、自己満足できるような作品を表せない子に、新境地を開かせることができる。
- ・図工ではまだまだアナログ的な要素が強いけど、仮に授業でこれからどんどんコンピュータが使われるようになったとしても、アナログ的な面白さ(体感・触感etc)が無くなることはないと思う。かえってアナログ的な部分が、今以上に見直され・洗練され、新しい方向性が出てくるかも知れない。やっぱり図工ってアナログにもデジタルにも転ばず、ぐちゃぐちゃに混沌としている方が、図工にとってはいいような気がする。
- まとめ
- 「図工のアナ・デジ」というテーマは、デジタル時代の波の中で拾い上げられたもので、アナログ・デジタルという言葉の意味にこだわるつもりはない。私たちは、「これまでの図工教育が持っていたものと、今後持たざるをえないものとを対比させて(アンケートより)」意識化させて行きたいのだ。以下略
- 講評
- <青地先生>
- コンピュータが家庭にも学校にもおしよせる中で、「図工の原点は何か」を考えていきたい。コンピュータの図工での位置は「子どもの世界が開ける(一部分ではあるが)」ということと、「体験」という意味で扱えばよいと思う。自分の中から出てきた色あいはコンピュータからは出てこないが、遊びがあり、子どもは時間を忘れて夢中になる。図工は一人一人の価値観を認めていく、試行錯誤しながら作っていく大切な時間である。図工がなくなったら子どもたちは痛手を受け、ひずみが出てくるだろう。
- <栗田先生>
- 「図工のアナ・デジ」というとらえ方でなく、直接体験か間接体験かということを考えた方がよいと思う。この教科で何をやっていくのかが大切である。コンピュータアイディアの面白さに陥り、「図工は何をするのか」が抜けてしまう。コンピュータが必要なら使う。必要なければ、時間がなければ使う必要はない。2003年に学校にもインターネット導入を文部省は考えているようだが、知識の教科には向いているが、図工では鑑賞教育ぐらいで向いていない。インターネットもコンピュータも万能ではない。メディアや方法ではなく「造形教育とは何か」という原点が大切である。常に子どもの立場に立ち、分からなくなったら子どもを見ればよいし、聞けばよい。
公開授業
- 「デコボコボンド、デコボンド」低学年The
rough Bond glue
- ねらい
- 形をつなげていく面白さや、形を作ることを楽しむ。
- ボンドの感触にふれ、その感触を指や手のひらで味あう。
- 紙で覆うことによってもとの形とは別の物になるおもしろさを知る。
- 具体的なイメージから出発し表現したものが、抽象的な物に置き換わっていく意外さを楽しむ。
- 半透明な美しさを光を通して味わう。
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授業者 工藤由紀子(西渋江小学校)
授業補助者 志水 洋(上小松小学校) |
2年2組 河端学級 |
- 「まげて まげて からまって」中学年Bending,
bending and twining
- ねらい
- 蔓の話を聞いたり、見たり、触ったりすることによって 蔓をとおして自然への興味・関心をもつ。
- 蔓と交わりながら、その特性を感じとり 自由に発想を広げ「造形」の意欲をもつ。
- 簡単に自由にならない物に 体全身を使って取り組む。
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授業者 神子島洋子(小菅小学校)
授業補助者 田熊利彦(花の木小学校) |
3年2組 高松学級 |
- 「今日が樹念日」高学年Today(tree)
is the anniversary.
- ねらい
- 今回の授業ではデジタルカメラを使い、活動を撮る。それを事後鑑賞で使って、表現したことを再度反芻して喜びを感じ会う。また、プリントアウトして子供たちに卒業記念として贈る。一方インターネットで世界に発信し、子供たちの夢を未来につなぐ希望の樹としたい。
- 自分たちの記念となるような樹をつくることを楽しむ。
- 友達と協力して、広い場所で大きな造形物をつくる喜びを味わう。
- 造形したり、自然に働きかけることで、空間が変わるおもしろさや、自然と融け合うおもしろさを体感する。
授業者 上田ふみ(細田小学校)
授業補助者 小島圭子(亀青小学校) |
6年1組 佐藤学級 |
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「キッポン」 補助者 川口英雄(半田小学校) |
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「北の国から97」 補助者 中嶋政子(金町小学校) |
「ゆられてキラリ」 補助者 佐藤智恵子(道上小学校) |
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「Cloud Tree」 補助者 米内山裕子(川端小学校) |
「ムンクの木」 補助者 新谷英文(南綾瀬小学校) |
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「虫のよろこび」 補助者 稲嶺八重子(木根川小学校) |
「太陽に愛される木」 補助者 高橋香苗(青戸小学校) |
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「カプセルツリー」 補助者 大山洋子(西亀有小学校) |
○熱心に授業に取り組んでくれた、第九峡田小学校児童の皆さんありがとう。21世紀に向かい、すばらしい世界をつくってください。
○荒川区立第九峡田小学校の校長先生ならびに全教職員、PTAの皆様方に心より厚くお礼申し上げます。
■葛飾区図画工作研究会 部長 柴田鏡子(葛飾小学校)
1997,12,13発信 高学年部会 川島真紀雄(中青戸小学校)
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