どん底の頃

ことばの遅れ

 当時は、昴の状態をなんでもマイナス方向に考えていました。
「〜〜もできない」「まだ〜〜の状態だ」っていうふうに。
 上の3人とは違う昴のことが不安で、藁にもすがりたい思いでしたから、専門家(と言われる人)の言うこと、専門書(のような本)の一つ一つに耳を傾け、そして落ち込んでた気がします。

 児童相談所の母子教室に通っていた時、「ことばの遅れの原因」について、専門の方のお話がありました。
発達の目安の一番が「ことばの遅れ」だったし、昴は健康で、その頃気になっていたのは「ことばが出ない」ことでしたから、ことばさえ出て来れば、だんだんいい方向に向かうと考えてました。
 お話によると、「バケツに水を入れ続けると溢れてくる。ことばも同じ。ことばが出てこないのは、バケツいっぱいになっていないから。お母さん、たくさん話しかけてあげましょう。」
 そうだったのか!私の話しかけが足りないのか。忙しさにかまけて好きなテレビやビデオをたくさん見せていたのが悪かったのか...。
(そしてまた自分を責める)

 でも、本当にそうだったんでしょうか?家族も多く、常に誰かが話しかけ、笑いかけてくれたみたいだけど....。

 口腔機能の問題とか、その他の説明があり、最後に「自閉症などの障害がある場合は別」とか言われた気がします。特別な説明はなかったような。
「自閉症?何、それ?」  当時は、ことばが遅れているだけだと思ってたし、自閉症なんて聞いたこともありませんでしたから。

 翌日、すぐに図書館で「自閉症」関係の本を三冊借りて来ました。
驚いたことに、昴の日常生活に当てはまることばかり。...間違いないなあ...
障害の内容も知らず、事実を受け入れていない私にはshockなことばかり。自分も昴も、この先ずっと不幸なんだと思いました。
読むほどに、落ち込み、涙ばかり出て来るので「もう本を読むのはやめよう!」と返却しました。

 今にして思えば、「原因」「問題行動」「対策」にばかり目が行き、「現在のありのままの昴を理解しよう」なんて、考えてなかったと思います。そんな心のゆとりも、全くなかったし...