月岡雪鼎 並笛図 1幅  絹本著色 江戸時代
 月岡雪鼎(1710〜1786)は、近江国(現在の滋賀県)日野出身の画家。京狩野家に画を学んだ同郷の画家高田敬輔の弟子。大坂に出て、絵本の挿絵、美人画、春画などでその名が知られ、大坂における風俗画系の祖と位置付けられている。豊麗な濃彩による人物表現は、艶やかさを感じさせることで知られている。
 風俗画家として知られている雪鼎であるが、現存作品は、むしろ和漢の古典に題材を取った人物画が多く、本図もそのような作品の一つである。

 玄宗皇帝と楊貴妃が、並んで一管の笛を奏でる様を描いた並笛図は、二人の愛情の深さを表現する画題として、古くから描かれている。楊貴妃は、容貌が卵形ではあるが面長であること、撫肩、痩身に表わされることなどは、明代の風俗画・美人画にしばしば描かれる女性像に類似する。
部分1  部分2  部分3  落款・印章

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