長山孔寅 岩に福寿草図 1幅  絹本著色 江戸時代 天保15年(1844)
 長山孔寅(1765〜1849)は、出羽国(現在の秋田県)に生まれ、京に出て呉春に学んだのち、大坂で活躍した画家である。四条派の写生画風を大坂に広めた画家として知られている。また、狂歌師としても知られた。

 岩の傍らに可憐に咲く福寿草を描いた作品である。福寿草は、正月に咲くことで知られており、その名のとおり、新年の吉祥を象徴する花である。 落款には、「八十翁 孔寅」とあり、傘寿(数え年の八十歳)を迎えた正月、自らを祝うために描かれた作品であると思われる。
 江戸後期の画家の多くは、正月に描き初めとして描く作品(新年試筆)を、自らの後援者に配布することがしばしばあった。本図も、このような新年試筆に、傘寿の内祝いを兼ねて、後援者に贈ったものではなかろうか。
部分  落款・印章

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