67横江萬治郎
87竹軒蔵品展覧図録 昭和10年6月9日 大阪美術倶楽部
横江萬治郎は、京都生まれの財界人。江戸時代以来、横江家は、三井家に別家として仕えた家柄で、萬次郎も壮年期まで三井に勤務していたが、その後三井を退職。北浜で株式投資家として活躍する一方、その資金を以て、文人画や煎茶道具などを主体とするコレクションを形成した。
横江は、若年期に詩文を儒者宮原節庵、画を文人画家谷口靄山に学び、三井入社後も、多くの三井系財界人が茶道数寄者であったのとは異なり、文人・煎茶趣味を持ち続けた。竹軒と号した文人、煎茶人として近代大阪で知られ、大阪における煎茶文化の興隆に大きな役割を果たした。
文人画・煎茶器のコレクションの売立として、優品が大量に出品され、与謝蕪村「竹林茅屋柳蔭騎驢図」屏風(現、個人蔵)が130,000円など総売上額約1,590,000円を記録した。