68有賀長文

88有賀家所蔵品展覧入札 昭和10年10月28日 東京美術倶楽部

 有賀長文は、大阪出身の財界人。有賀家は、江戸時代大坂において、国学・歌学の家として知られた。兄有賀長雄は、法学者として知られる。東京大学から農商務省に進んだ後、井上馨の推薦で三井に入り、長年にわたって三井合名会社の理事を務めた。
 三井系財界人の多くがそうであるように、有賀も、日本の古美術蒐集と茶道数寄の世界に入り、優れたコレクションを形成した。この売立では、「伊勢像(佐竹本三十六歌仙)」(現、個人蔵)が、83,900円で落札されるなど、総売上は740,000円を超えた。