日曜大工
Jazz Bass ギター・ベース磨き!
今回は中古で入手したジャズ・ベースのメンテナンス!!
マスター・ビルダーものが「新品同様」とのことだったが、届いてみたらナ〜んだコレっ!
ハードウェアはサビが出ているし、あちこちスクラッチしている!
どのように見たら「新品同様」に見えるのか聞いてみたが、返事なし・・
心優しい私はモメるよりも、黙って磨こう!
楽器は道具に違いないが、ロクに使いもせず、こんなになったベースが可愛そうだ!
折角の良いベースを使わずにこんな状態にした前オーナーの歴史を、気合いを入れて消し去り、リセットすることにした!
今回は機材が新しいので、新品状態に近づけるべく念入りに全身エステを施す! よって、慎重にネックを外して磨きの準備だ! Fender のネックを外す際は、ネックポケットのエッジ部分が塗膜ごと剥がれることが多いので慎重に! 外せるパーツはどんどん外してゆく! そして一通り全体の状態を確認してゆく! |
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まずはネックから点検! このベースの特徴として「ゼロ・フレット」が付いている! フレットは大きめのものが打たれている! 指板は良質なローズウッドだが、ガサガサ・・ 一度も手入れしてもらったことがないんだろうな〜 |
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ペグポストは「くすみ」から「腐食」へ進む一歩手前だ! ベースプレートも同じ状態! とても新品同様ではない! Dennis Galuszka 氏のサインが確認できる! |
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ペグを外すと結構日焼けしている! ずっとケースから出してあったのだろう! 日焼けは磨きでは消せない・・ 指板は63年仕様で、ローズウッドのラウンド貼りだ! ネック材はクォーターソウンのメイプルだ! ネック材といい、指板材といい、素材と木取りは最高だ! このあたりはサスガのマスター・ビルダーもの! |
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指板のメンテナンスは fingerbord を参照していただきたい! まずは(株)光陽社製の「銀磨きクロス」でフレットを磨く! 最近はギター・ショップでも名前を変えて販売されている! すぐにクロスが真っ黒になるが、その分フレットはピカピカ! |
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次にレモン・オイルでフレットを磨く! まず「銀磨きクロス」の磨きカスを拭き取ってから指板全体を磨く! レモン・オイルは直ぐに蒸発するので、私は汚れ落としと考えている! だが、付けすぎはいけない! 少量をウエスに付け、木目に沿って優しくゴシゴシ! |
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指板が綺麗になったら、レモン・オイルが蒸発してから私のお気に入り「エノ油オイル」を塗る! すでにクリーニングは済んでいるので、オイルを置いていく感じでたっぷりと塗り込む! オイルが浮いているぐらいで丁度いい! 初めて使った時は、あまりにギットリしてビックリしたが、すぐに浸透して馴染む! このまま 2〜3 時間、染みこんでいくのを待つべし! 待つ間にハードウェアのクリーニングを行う! |
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何度も言うが、これが「新品同様」のブリッジだ・・ ど〜こ〜が〜っっっ ベース・プレートは腐食してコベコベでクロームと言うよりはクロコ状だ! 駒に到ってはナ〜ント! 赤サビが出ているではないか! 保証書を見ると購入後 1年しか経っていない! どうやったら 1年でこんなになるんだろうか? 風呂場の脱衣所にでも置いていたのではないか? いやはや何とも、折角いいベースなのに所有者がこんな扱いでは勿体ない! |
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ペグ・ポストとストリング・リテーナーは「くすみ」程度なので、ルーターにナイロン・ブラシのビットを付けてざっとクリーニングする! 本機のようなスパイラル・サドルはバフがけがしづらいので、まずは柔らかい金属ブラシでサビ取りだ! |
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ねじ穴にはこんなビットも有効だ! 写真で分かるだろうか? まだ新しいこともあり、幸いにこれだけの処置で輝きが出た! |
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そして全てのハード・ウエアを、お馴染みの仏具洗浄液「2001」の原液に浸す! コレが廃盤になったら私は途方に暮れるだろう! 素晴らしい洗浄力で、しかもパーツに優しい! 洗浄方法は ES-335 のサイトを参照! 「銀磨きクロス」はフレットだけでなく、クロームパーツにも非常に有効だ! ただし、金メッキには使用厳禁だ! |
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ねじ類は弦の潤滑剤をスプレーしておくと結構サビを防げる! 特にねじ穴には有効だ! くれぐれも CRC-556 は使わぬ方がよい! |
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そして、これまたお馴染みの「復活洗浄液・フッ素保護剤」でコーティングする! これでかなり「くすみ」を防ぐことができ、輝きも増す! 結果、キラリと輝いた! |
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Fender Bass のペグは動きがかたくなることがあるが、スプレー式の556やシリコーンはお薦めしない! これらは浸潤性が高いので、吹き付けた周辺に広がっていき、広範囲がベトベトになる! また、グリース類を塗布すると、大体はグリースが汚れて黒くなってくる! 私は FREEDOM のSilicone Grease SP-P08 を使用している! ギア部とシャフトにチョコっと塗ってやるとかなりスムーズになり、使用感も良い!(写真は他のベースのペグを使用している) |
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エノ油が充分に染みこんだら、表面の余分な油を拭き取る! 拭き取りにはキッチンペーパーが便利だ! ケバが出ずに、何と言っても使い捨て・・ ローズウッドが深みを増してシブイ! ヘッドをクリーニングしてペグを取り付けたらネックは完成だ! |
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ピックアップのポールピースにも赤サビが出ている・・ ピックアップはあまりイジリたくないが、サビというのは広がる! で、コイルをマスキング・テープで保護し、ルーターに金属ブラシやシリコンゴムの柔らかいビットを付けて磨く! 表面のコーティングが剥がれるが、ハケで塗るタイプのプラモデル用の接着剤を塗ると元通りになる!(瞬間接着剤はダメだ) |
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写真でも充分に確認できると思うが、左はピックのスクラッチだ! そして、右はボディを洗いざらしのタオルで拭いたのか、全身ものすごい磨きキズだ! |
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いよいよボディの磨きだ! コンパウンドでスクラッチと磨きキズを除去する! いつも通り、まずは3000番手のコンパウンドで磨きかけたら、どうやら本機の塗膜は柔らかいようだ! と言っても非常に感覚的なものだが、パリパリしていないのだ! 右写真のようにコンパウンドがウロコ状に伸びるのは、経験上あまりよくない! なので、労力は何倍にもなるが、9800番手の「超極細」で磨いた! ツヤ出しには使用するが、これで磨くのは初めてだ・・ しんど・・ |
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せっせと磨きに磨いた! 結果、ピックの跡や全身の磨きキズ、全て取り去った! ザラッとしていた表面が吸い付くような肌触りに大変身! 女優もビックリのエステ効果だ! 仕上げはこれまたお馴染み、FREEDOM の SP-P-12 f54 shiner だ! 深みのある仕上がりは、なかなか気に入っている! |
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最終的には先日、鹿の本場? 奈良に行った時に買ってきたセーム革で拭き上げた! サスガは奈良の鹿! いい仕事をする! ピカピカだ! このツヤが写真で伝わるだろうか? 磨き前にはぼんやりと映っていたライトの光がクッキリ映るようになった! なによりも手触りですな! しんどかったが流石は9800番手! ツルピカになった! |
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ビカビカっと輝きを取り戻したブリッジを取り付け、パーツを組み込んでゆく! あ〜〜 アカまみれ、ホコリまみれのベースだったが、一皮むけた! これでこそ本当の「カプリ・オレンジ」! 鮮やかな情熱の色! これなら堂々と「新品同様」と言えるだろう! |