十津川警部「吉備古代の呪い」
目次 主な登場人物
第1章 大王の時代
第2章 吉備・桃太郎伝説
第3章 権謀の時代
第4章 吉備マンスリー
第5章 出版
第6章 二人の佐伯賢生
第7章 現代の殺人
ISBN978-4-12-205572-8

2011/12/20初版

中公文庫 に7-42

533円(税引)
241ページ
吉野文彦、妹・吉野多恵子
日本古代史研究会会長・佐伯賢生
吉備マンスリー編集長・前田俊夫、会長・五十嵐保
佐伯賢生の弟・佐伯明生、明生の妻・美由紀
斉藤晃・北川茂樹

小説「吉備 古代の呪い」の登場人物
    吉備人・キビワタル、タケル
    田狭朝臣(温羅、ミヤケ)、妻・稚媛
    雄略天皇、蘇我の如月
    大野見皇子、高川部皇子、星川皇子

捜査陣
十津川警部・亀井刑事・北条早苗刑事・西本刑事
三上刑事本部長・日下刑事・三田村刑事

岡山県警沢田警部
和歌山県警安藤警部
岡山県総社市に住む郷土史家・吉野文彦が東京のホテルで服毒死した。 日本古代史研究会に招待されての上京であったが、会の代表者・佐伯は吉野と面識はなく、招待状も出していないという。 吉野は“桃太郎・温羅伝説”を題材にした小説「吉備 古代の呪い」を発表し、好評を博していたが…。古代ロマンが生んだ殺人事件の真相に十津川が挑む。
(裏表紙文参照)
桃太郎といえば、桃から生まれた桃太郎が、鬼が島にいる鬼が人々を苦しめている事から、鬼退治に行くというストーリーで、 語られている物語。途中、吉備団子がほしいという犬・猿・キジを家来にし、見事、鬼をやっつけて、おじいさん、おばあさんの元に 帰ってくる。

こういうお伽話の裏には、それに関わる諸説が存在しているらしく、この「桃太郎」にも、数々の説があるようです。
この本の中、岡山の歴史案内に書かれている温羅伝説には、朝鮮半島から来た百済の王・温羅に対し、大和の国王は、たびたび兵を出して、 戦わせましたが、相手が強く、退治できません。いつしか温羅はオニと呼ばれるようになりました。そこで王は、吉備津彦命(俗には、山陽道 を主に制圧したといわれる古代日本の皇族。孝霊天皇の第3皇子という事)に対し、温羅退治を命じ、犬飼猛・楽々森彦・留玉臣など家来を連れて、 温羅を退治したという。これが、桃太郎の話になったとされているらしい。

ただこれは、勘ぐれば、吉備津彦命の功績をよしとする側の話であり、赤穂浪士での悪役とされる吉良側からの解釈のように、オニと呼ばれた 温羅側の諸説もあるであろう。そんなところから、ある郷士史家の殺人事件を絡め、京太郎さん版「桃太郎」が書かれている作品のようです。

評価
☆☆☆ 星3つ(星5つで満点)   京太郎さん版「桃太郎」