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  TERUZZI & PUTHOD(テルッツイ&ピュトゥー)



TERUZZI & PUTHOD
テルッツイ&ピュトゥー
Ponte a Rondolino
(ポンテ・ア・ロンドリーノ)

Loc,Casale,19 53037 San Gimignano SIENA
Tel:39(0)577-940143
Fax:39(0)577-942016
オーナー:エンリコ・テルッツイ
総ヘクタール:100
エノロゴ:エンリコ・テルッツイ




 「ワインの造り方など何も知らなかったさ。当時、誇ることの出来たものと言ったら、スキーとヨットで鍛えた魂だけだったよ。」

 これが、トスカーナに留まらず、イタリアをも代表する偉大な白ワイン”テッレ・ディ・トゥフィ”を生み出し、ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ種を世界に知らしめた紛れのない第一人者、エンリコ・テルッツイの放った言葉である。

 1934年、ミラノの大電気会社の息子に生まれたエンリコ・テルッツイ氏。23歳より父の事業に加わり、ジェネラル・マネージャーとして会社の躍進に貢献する中、28歳の時にスカラ座のプリモ・バレリーナであったカルメン・ピュトゥー女史と結婚、そして2年後に愛息子アンジェロを授かる。37歳の時に、ミラノと会社の仕事を離れ、冬場はかねてからの情熱であったスキーの講師として、夏場はヨットにて果敢にも地中海の沖へ繰り出し数々のレースにて大活躍していた彼だが、その2年後の1974年、現在のワイナリー、ポンテ・ア・ロンドリーノ農園を購入、家族と共に定住するに至る。

 当時得た37ヘクタールの土地のうち、8ヘクタールは森に埋め尽くされていて、16ヘクタールあったワイン・ヤードにおいてすぐさま生産可能であったものは、ヴェルナッチャとキャンティが半々であった僅か1,5ヘクタール。とは言え、経験を持たぬために無我夢中に、そして懐中電灯を片手にしてまでも打ち込んだ収穫、醸造はまさに”過酷な労働”であったと語り、情熱ために成し得た作業であったと言う。

 1977年、ワイン学の大家、アドリアーノ・ロマーノ氏に出会い、当時イタリアではまだまだ未知の世界であった”醸造における科学”の習得を勧められるや否や猛勉強に励む。そして、サン・ジミニャーノはおろか、トスカーナ州にても最初のうちのひとつであった近代的なカンティーナの構築を開始し、2万個にも及ぶ冷蔵庫、900平方メートルの地上地下にも及ぶ広大な設備や温度管理下された貯蔵庫などにおいて、イタリアの白ワイン史にその歴史を刻むハイ・クオリティな醸造に着手する。


 こうして生まれた最初のワインとも言える”ヴェルナッチャ・リセルヴァ‘78”が、当時ヴェロネッリのもとで活躍していた、現ガンベロ・ロッソ・ワイン・ガイド”の編集長、ダニエレ・チェル二ッリ氏曰く、「空前絶後のイタリア産白ワイン」との評価を受け、世界市場にても、多くのjワイン・ジャーナリストを騒がす一本として注目を集める。

 数年後に生まれることとなる、「イタリアで最も有名な白ワイン”テッレ・ディ・トゥフィ”」により、その”ヴェルナッチャの巨匠”としての地位を確固たるものとしたエンリコ・テルッツイ氏だが、”ミラノから来たよそ者”として扱われていた当初の状況をこう語ってくれた。

 「”伝統”というものは必ずしも正しいとは限らないものである。私がそれに早く気が付いた理由は、”ミラノからのよそ者”であったことと、”ワイン生産の経験を持たぬ”ために、既成観念に捕らわれていなかったためであり、ある意味では恵まれていたのかもしれないし、またある意味では私の才能でもあったのだろう。当時の”ヴェルナッチャ”は、イタリア最初のDOC指定を受けながらも、地元の人々はキャンティにむしろ重点をおいて生産していたし、酸化しきっている最低のレベルの”ヴェルナッチャ”でも、只でさえ有名な観光地、サン・ジミニャーノの観光客には充分に売れていた。だから人々は改善点を見出そうとしなかったし、それが”伝統”と呼ばれる”誤解”に包まれた頑固な地元民の性格でもあって、”収穫量を減らす”だとか、”低温保存”などの今となっては当然な技術でさえ、”歴史に対する冒涜”みたいに考えていたのかも知れない。ヴェルナッチャ種は、シャルドネイ種とは明確に違い、発酵前に一気に冷やしてやらないと直ちに酸化をし始めてしまう厄介な性格を持っている。だから、収穫後間をおかずプレスするか、低温管理して品質を保つ必要がある。それが私のワインの成功の秘訣のひとつでもあったのだろう。”発酵作業後”はともかく”収穫、もしくは発酵前の葡萄”に気を使う人間は他にいなかったからね。」

 現在、”テッレ・ディ・トゥフィ”を生み出すバリックが並ぶの地下貯蔵質から地上のステンレス樽システムに至るまで、ありとあらゆる全てが、僅かな温度や水位の誤差までもを警報するコンピュータ管理下に置かれたシステムに守られ、さらに”観光市街地の電気使用量をはるかに超える”とも云われる無数の冷蔵設備の整った地区最大のカンティーナを構え、”ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノの育ての親”とも呼ばれるに至る、エンリコ・テルッツイ氏。だが、彼のワインの秘訣はそこに止まらない。

 「”ヴェルナッチャ種”はヴィンテージの影響をあまりにも受け易い品種である。幸い恵まれた”晴天続き”のシーズン全体の天候から”糖分”における問題は皆無とは言え、収穫期の不安な天候がもたらす湿気によって、その凝縮度がいとも簡単に崩れてしまう。だけど、私のワインには、”ヴィンテージによるの格差”はほとんど見られないはず。何故なら、例えそれが数十パーセントのコストの損失になろうとも、成分分析において”好ましくない部分”は削除するからね。”自然”を尊重するのも美しいことだけれども、自然と闘うことも美しいと思う。私の経験からすると、ヨットで高波にのまれそうになったときに、”逆らわない”よりも”チャレンジする”ことのほうが性格にあっているのさ。」

 こんな風に、”40歳”を過ぎてからも”ワイン会の頂点”に登りつめた達人の言葉はまだまだ続く。

 「確かに、”ワインの質”を求めるための努力や支出は多大なものだけれども、”ワイン”というもの、法外な値段をつけてはいけないと個人的に思っている。」

 圧倒的に他を凌ぐ品質を誇り、今や地区のスター的存在の彼とは言え、”ワインの価格”において他を凌ごうとしない彼の志である。

 「どんなに手間や工賃をかけて” 一級品ワイン”を造っても、それが消費者に手が届かないことは悲しいこと。それに、そんなやり方をしたら、”金持ち”だけが”良いワイン”を造るという方程式が成り立ってしまう。私はそれが嫌いでね。”お金”よりも”頭脳”が大事なのさ。」

 今年の6月に、なんと”67歳”を迎えたことになる”マエストロ(達人)”、エンリコ・テルッツイ氏。まだまだ、まったくといって衰える感すら見せずに、愛息子”アンジェロ”と共に、業界最高のワイナリーを引っ張っている。

 今年の秋から、”ポンテ・ア・ロンドリーノ”近くはカザーレ地区の”サン・ジミニャーノ”を一望に見渡せる最高の敷地に、息子アンジェロの担当する”テイスティング&直売所”を設け、コンピューター管理による”自動栽培システム”をチャレンジするごとく稼動し始めた、”カステル・サン・ジミニャーノ地区”の新しいワイン・ヤードをも加え、伝説に留まらず更なる躍進を続けて止まない、名門ワイナリー”テルッツイ&ピュトゥー”。

 未だ”健全”のスーパー・白ワイン”テッレ・ディ・トゥフィ”はおろか、白ワイン醸造に仕上げたサンジョベーゼ種のワイン”カルメン”や、その価格から考えると、あまりにも高品質な味に包まれる赤ワイン”ペペリーノ”。常に心地良いテイストに溢れる、シンプル・スタイルの”ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ”に、僅かに混入されたシャルドネイ種がたくましい”ヴィンニャ・ロンドリーノ”などなど。留まることなど、全く知らぬ”チャレンジ精神の男”エンリコ・テルッツイ氏のかけがえない
財産”テルッツイ&ピュトゥー”。近年、マレンマは話題の赤ワインゾーン”スベレート”にも新しい畑を購入し、数年後に向けて”空前絶後のIGT赤ワイン”のデビューさえも噂される”名門ワイナリー”の活躍に期待しましょう。


 カステル・サン・ジミニャーノ地区の新しいワイン・ヤードにて、息子アンジェロ氏と







Vernaccia di San Gimignano
(ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ)
カテゴリー DOCG
品種 ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ種100%
薄緑がかった明るめの麦わら色
香り 繊細ながらに強いフルーツ香
テイスト 心地良く爽やかさを感じる辛口。柔らかく、アロマに富んで、特徴的なほろ苦さが嬉しい
サービス適温 10−12℃
料理との組合せ 魚や甲穀類、白身肉、アペリティフなどに最適
備考 正しい”ヴェルナッチャ”の印象が強く、食事に合いやすいワインをお求めの方にお勧めの一本。(評価:82/100)

 注:評価は実際の試飲に基に行われています。








その他のワイン紹介

DOCG "Vernaccia di San Gimignano"

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IGT

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