ゴンドラ
長さ11.5メートル、幅1.4メートル、重さ約400キロの手漕ぎの船、ゴンドラはヴェネツィアで一番優雅な乗り物です。今では専ら観光用になっています。船体は黒一色に統一されており、また、座席の色などは船の漕ぎ手であるゴントリエーレの好みで決まっています。
ゴンドラは左右非対称に作られているので、係留されている時は、風や波がなくてもわずかに揺れています。
サンマルコ小広場で風に揺れるゴンドラ
対岸に見えるのはマッジョレー島です。
観光スポットの近くには大抵ゴンドラ乗り場があります。ゴンドリエーレが乗らないかとさかんに声をかけてきたりしますが、値段やコースの交渉をしっかりしてから乗った方がよいでしょう。
サンマルコ小広場で
ゴンドリエーレと値段の交渉をする人
昼間に、家々の間を縫うように張り巡らされている小運河をゴンドラで静かに揺られていくのは楽しいものです。水面ぎりぎりを滑るように進むゴンドラからは、また一味違うヴェネツィアを堪能することができます。
水上バスの走っていない小さな運河では、聴覚が研ぎ澄まされます。ゴンドラにぶつかる、チャプンチャプンという水音。ぎいぎいという櫂(かい)の音。時折、聞こえる陽気なイタリア語の旋律。その中で、静かに流れゆく左右の建物を見上げていると、旅情たっぷりです。
しかしながら、小さな太鼓橋の下を通過するときは、歩いている多くの人に好奇の目で見られてしまいます。(多少恥ずかしい…。)
小さな運河を行くゴンドラ。
狭い運河の曲がり角では、ゴンドリエーレが
クラクション替わりに声を出して注意を促し、
時には壁を蹴って方向転換します。
ゴンドラに乗るなら、何と言っても夕方がおすすめです。カナルグランデに沈む夕日をゴンドラに乗って眺めると、うっとりしてしまいます。
サン・トロヴァーゾ運河のゴンドラ造船所。
対岸から見学することができます。(2002年撮影)
ゴンドラ・セレナーデ
日本の団体ツアーには、多くの場合、ヴェネツィア観光の目玉として「ゴンドラ・セレナーデ」なるものがついています。これは、ゴンドラに乗ってアコーディオン伴奏付きのカンツォーネを聴くというものですが、ヴェネツィアでもあまりお目にかかれない光景で、ややもすると嘲笑の的となります。と書きながら、実は、私も9年前に経験しています。(しかも真っ昼間に)
小運河にゴンドラ数隻が連なり、そこからアコーディオンの和音とオーソレミオが響いてきたら(それはそれで非常に雰囲気があるのですが)、乗客はほぼ100%日本人と考えてよいでしょう(笑)。
でも、やっぱり今回もゴンドラに乗ってみたくなってしまいました。前回のようなツアー客相乗りの昼間のゴンドラではなく、是非、夕暮れのゴンドラに!です。でもゴンドリエーレと値段を交渉する自信がないし…。
そんな時Webで見つけたのが、マイバス・イタリーの「夕食付きゴンドラセレナーデ」です。 交渉しないでゴンドラに乗れることと、食事がついているのが魅力で、いつの間にか、セレナーデという単語は見えなくなってしまいました。 日本で申し込むことも可能なのですが(日本で予約しようとしたとき、「少々の雨の場合は、傘をさしてゴンドラに乗ります。」と言われた。そんな無謀な〜!)、旅行中の体調や天気の様子を見ながら、現地で申し込むことにしました。 ヴェネツィアに着いてから夫が予約しました。(日本語が通じます。)当日、指定された場所に行ってみると、他に参加者がなく、2人だけの貸し切りになっていました。一方、翌日は14人もの予約とのこと。(この場合は乗り合いになります。)1日違いで私たちは非常にラッキーでした。 |
ところが、ここで気付いたのが、ゴンドリエーレとマイバスイタリーの担当者の横に立っている2人の男性。頭の中が「?マーク」で一杯の私たちに向かって、マイバス・イタリーの担当者であるイタリア人女性が流暢な日本語で言いました。「だってセレナーデですもの。」
セッ セレナーデ!!(-_-;) 今頃気付いても後の祭り、男性2人の正体は、アコーディオン奏者と歌手だったのです。
さてさて、こうしてTomokoさんと御主人は、まるで新婚旅行のようなゴンドラセレナーデに出発しましたとさ。夕方なので、ゴンドラに乗っている人はたくさんいました。でも「貸し切りゴンドラで音楽付き」の豪華版は私たちだけ…ははは〜!もう笑うしかありませんねぇ、恥ずかしくて。
ゴンドラ遊覧の後の夕食がおいしかったことが、せめてもの救いです。めでたしめでたし。
アサリのリゾットがおいしかったリストランテ
ワインの並べ方もイカしてます