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  Olio e Salute(オリーヴ・オイルと健康)

  "Voglio Mangia La Pasta Con Sugo!(ソースのあるパスタが食べたい!)”

 と騒ぐ育ち盛りの子供に対して、”健康上の理由から”Pasta al Olio(オイルを振り掛けただけのパスタ)”を勧める親や教育委員会も多い、この国イタリアでは、”オリーヴ・オイル”を、まるで薬か何かのように考えているのではないかと思う事が度々あります。”冷たい水はお腹に悪い”、と常温の飲み水を尊重し、”胡椒の利かせ過ぎは体調を崩す”等と、只でさえも、正しい食事に関する”云々”の尽きない人達と一緒にいると(その割には、夜中の12時に山盛りのジェラートを頬張り、胡椒の塊のようなサラミを愛する人達ですけど)、食事にまつわる健康管理というものが、まず何よりの”疾患防止の原点”という意識が、強くなります。
 例え、西洋料理がすっかりお馴染みの物となったとは言え、まだまだ脂肪分の摂取の少ない日本人にとっては、多少難しい感覚であるかもしれませんが、”何かしらの油分は必ずついて回る西洋料理において、”良いオイルの選択”そして”正しい使用法”と言うものは、とても重要な意味をもっていて、話を、車に例えるならば、古く汚れた潤滑オイルが、エンジンの理想的な働きを妨げ、その他箇所の故障の原因にもなり、時には重大な事故にも繋がってしまうと言うこと。それならば、そんな危惧を防ぐ為にも、頻繁にオイルの入れ替えを行い、且つその品質にも考慮を加える必要性があるように、人間の体に於いても、全く同様の注意が必要だと言う事です。一般に、体成分の潤滑を促すための油脂肪分の必要摂取量は30%弱と言われ、バターに始まる油成分から、豚肉等の脂肪分まで、タンパク質を構成し、生命の源となる大切な役割を持つ必要不可欠なエネルギーですが、それが偏ると、コレストロールの蓄積などの、弊害を生み出してしまうし、超過してしまうと、体系のバランスを崩し、その他の必要性分を覆い隠してしまう働きがあります。それでも、一昔前のように、人々が朝から晩まで、畑でクワを振りかざしていた時代には、多少の超過分は消耗され、最終的なバランスが整ったりしていたみたいですが、デスク・ワーク、そして労働時間の短縮が進む現代文明の中では、悪戯に油脂肪分による旨みが強調されていた多くの伝統的料理は、南国諸島に降り続く豪雪みたいなもので、たちまちに民家の屋根をその重みで押しつぶし、復興の見通しすら立たない事態を招くでしょう。さて、それならばどうしたら良いでしょうか?豚肉を食べないことにしますか?それとも、脂で焼かれた料理を拒絶しますか?そういうことではありません。車の話に戻ってみても、一度走行する度に、オイル交換をしても意味のないように、それこそ、シベリアに降雪警報器を備えるようなもので、問題の解決には程遠いでしょう。ただ、降雪警報器は無駄かもしれませんが、暖房資材や、食料の買い置き、活動を可能にするための除雪車は、役立つかもしれませんし、陰気な空に光を燈す”愉快な仲間達”みたいなものは、必要不可欠でしょう。そんなものです。自然の法則に従いながらも、良いものを取り入れ、不必要になったものは切捨て、そして問題が生まれそうならば、前もって処理して生きてゆく。多少話が歪んでしまったかもしれませんが、同じ事です。生活に応じ、出来るだけ良い脂肪分を取り入れながらも多少の誘惑は受け入れ、超過を促す悪性の組み合わせは避ける。そして何よりも大事な事は、その形態を、つまり何が悪くて何が良いかを経験、または本能で学び、進歩する事でしょう。
 とにかく、そんな流れを持った油脂肪分の中で、最も人々の生態系に理想的な新陳代謝を促す”エキストラ・ヴェルジネ・オリーヴ・オイル”。良いオイルの選択”を知ったところで、”正しい使用法”の話に移りますが、いきなり要点を言ってしまうと、”脂”を”油”で調理しないと言う事。ひとつ、簡単な例を挙げて説明してみますと、脂肪分(皮の部分)を取り除いた鳥の腿肉を調理するのに、油は必要ですが、脂肪分の溢れる皮付きの状態だと必要ないということ。このように結果として、2重の油脂肪分が不必要な交わりを見せると、超過である部分の酸化が進み、不快な臭いを放って、ある種の毒性すらを持ちます。これとほぼ同じ理由で、その肉を調理する際の器具(この場合、フライパン)が対する肉の大きさに合っていないと、余分な器具のスペースに広がる油脂肪分が悪戯に酸化を煽ってしまうために、やはり好ましくない変化を遂げてしまうのです。
 今やすっかり、世界にその価地の知られ、向かう所敵なしの王者たる”エキストラ・ヴェルジネ・オリーヴ・オイル”ですが、それを使用することに奢れず、その正しい使い方をマスターする事によって、本当の真価たるものに出逢い、そしてその愉しみを広げて頂ければ、自然に貴方の健康に素敵な変化が現れるのではないか、と思う次第であります。