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少しずつ


2月28日


 Bコースはたった四日目にしてもうテスト。別に道は難しくないけど、難関が二つほど。エスカレータと踏切だ。
 このまえは、エスカレータにすいすい乗れて感激したけど、何度も乗ってるうちに、実はティンクルもエスカレータはそれほど得意ではないんだということが分かってきた。彼女なりに、ものすごく頑張ってるみたいなのだ。乗るときはまだいい。ノエルみたいに足を出せず、じっと動く段々を見てるうちによけいどつぼにはまって座り込みなんて情けないことは決してやらない。 滑らかにすーっと乗って嬉しそう。 問題は降りるとき。どうやらこちらはノエちゃんとどっこいの腕前のようだ。終点が近づくとにわかに緊張して、まるで幅跳びみたいにビョン!!って飛び出す。昨日・今日と、あせらずちゃんと降りられるように集中特訓して、だいぶできるようになった。でも今日は指導員が側にいないから、お互い緊張したな。
 降り口の少し手前から、ティンクルの頭をなでなで、励ましながら降りた。 すごく滑らかに降りてくれたので、本気で顔がくしゃくしゃになるくらい誉めた。ティンクルがビュンビュン尻尾を振る。 可愛い!

 次の難関は踏切。都会の踏切は幅が広いし、すぐにカンカン鳴り出すから、はらはらする。たまたま踏切手前に到着したときにカンカン中だったらまだいいけど、もともと開いてるやつは、いつ閉まるかほんと分からないから、思わずあせる。あせりは犬に伝わり、よけいもたつく。急げ急げとせかしてようやく渡り終えた。カンカンは鳴り出さなかったけど、どっと疲れた。あとは順調。タッタカタと帰ってきた。
 さて帰ってしばらくして、ティンクルに食事をさせる時間。いつものようにボウルにドライフードを入れ、水を加えて与えるのだけど、何だかいつもの元気な食べっ振りじゃない。これがノエルだったら驚きもしないけど、何せ普段のこの子は、バクバクすごい勢いで食べるんだから。
 ボソ、ボソ、ボソ。そのうち食べるのをやめて、自分でハウスに入って伏せてしまった。
 どうしたっていうわけ?何度か食べるように促してみたけど、全く興味なさそうだった。しかたがないのでそのまま指導員に預けて病院へ。透析中もそのことが気になる。こんなときに限って、針刺しに時間かかったりして、帰りが遅くなった(涙)。
 10時半近くにようやく協会に戻り、指導員からティンクルを受け取る。よかった、元気そう。尻尾振りまくり、体グネグネしまくりで迎えてくれる。
 「Amiさんと離れるのがいやだったのかな?」
 と、指導員さんらしからぬコメント。ほんとにそうだったらかなり嬉しいけど、まだこの子の気持ちがそこまで私に向いているとは思えないんだなぁ。でも、少しずつ変化してきていることは確かだ。こうして病院帰りの私を出迎えてくれるときの態度も、やはり先週とは違う。いろんなことを二人で経験し、難関を乗り越えて、お互いの心が繋がり合っていくのかな。
 ひとしきりグネグネし終えると、ハウスに丸くなって寝てしまった。キュ〜ンと、可愛さが込み上げてきた。


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