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ついにやってきた!


2月17日


 午前9時。ついにアイメイト(この協会で育った盲導犬はそう呼ばれている)と対面するときがきた。ミーティングルームに上がり、その瞬間を待つ。
 初めにMさん、次にKさんに、それぞれの犬が渡された。二人ともとっても嬉しそう!犬たちのほうは意外とクールなのかな?あまり喜んだりはしゃいだりしてるようではなく、じっと新しいお母さんに撫でられているみたい。
 いよいよ私の番。
 私のところに来たのは、ティンクルという名前の女の子。ティンクルとは、英語のTwinkleのことで、きらめき、輝きという意味。素敵な名前!ノエルの妹にぴったりだね。
 「ティンクル、カム(おいで)」と呼んだら、静かにやってきてお座りした。と思ったら次の瞬間、ゴロリン!
 (あれあれこの子もか!)
というのも、10年前、ノエルに出会ったとき、ノエルも同じことをしたのだ。私のところに来る子たちはみんなひっくり返るのか!すごいなぁ(何が?)。
 ティンクルの喜び方はノエルよりも積極的だった。体をくねらせ、尻尾をパタパタ、前足を出して遊ぼう遊ぼうと誘ってくる。けっこうやんちゃなのかな?でも可愛い!!一瞬にしてこの子が大好きになった。
 部屋に帰り、指導員がドアを閉めて行ってしまっても、ティンクルは平然としている。しぐさはノエルと似ているけど、性格はけっこう違うのかも。と思っていたら、しばらくして、急に寂しくなったのか、2度3度鼻をピーピーと鳴らした。ところが私がちょっと撫でてやるともうご機嫌になってじゃれ付いてくる。伏せさせていてもずっと顔を上げて、私の動きを追っているし、すぐに立ち上がる。ほんのちょっと可愛がると、たちまち舞い上がって、前足を胸や肩にまで乗せてくる。けっこうお調子者?興奮し易いのは確かなようだ。

 午後から、さっそくティンクルにハーネスを付けて歩いた。ハーネスをかけようとしたら首を振っていやいやみたいな様子をした。あれあれ、ハーネス嫌いなの?まぁいいや、きっとそのうち大好きになるんだから。
 外に出て、少し歩道を歩いた。元気がいい。タッタカタッタカリズミカルな足取り。さっき出会ったばかりの私がハーネス握ってるのに、抵抗もせず、前を見て順調に歩く。いい子だ!と思った瞬間、何かに気を取られたらしく、くるりと振り向く。やたらあからさまな振り向き方なので、けっこうあわてた。じっとしているときもたいてい顔をシャキッと上げていたり、キョロキョロ周りを見ていたりするから、もしかすると、かなり強い好奇心の持ち主なのかな?
 部屋に帰り食事をさせた。勢い良く食べる。ノエルのゆっくりした食べ方に慣れていたので、びっくり!若いからというよりは、ノエルがあまりにのんびりしてたんだと思うけど、おそらく3倍は速い。
 こうして無事に出会いの日が終わる。 さぁ、これからどんなことが起きるかな?頑張って卒業しなきゃね。そしてこの子とたくさん歩いて、たくさん楽しい時間を過ごすんだ!きっと幸せなアイメイト人生(じゃなかった、犬生)を送らせてあげるよ。よろしくね。


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