携帯用トップへ



いろいろあるよね


3月10日


 晴天続きの今回の訓練。雨は降っても夜のうちに上がったりして、うまく切り抜けてきたのだけど、4週目にしてついに朝からの雨。何も電車やバスに乗るときになって降らなくてもと思うけれど、しかたない。吉祥寺駅に車を横付けしてもらい、そこから構内へ。
 券売機も改札も上手に見つけられるようになってきたし、ホームの移動の仕方もなかなかのもの。
 またしても三鷹駅でエスカレータの練習。どうしても降りるとき怖いから、弾みをつけて飛び出すみたいになってしまう。これをやめさせないと、私の場合左手に負担かかるとまずいので、現在一番の課題だ。弾みをつけそうになるのを、頭なでなでして落ち着かせ、一緒にゆっくり降りる。途中、知らないおばさんが
 「エスカレータが怖いの?」と、犬に向かって話しかけてきた。大胆だね、どう見ても訓練中なのに、それでも話かけるとは!
 何度も何度も練習して、だいぶ上手になった。
 「上手だねぇ。グーーッド!」
と言ったら、ちぎれそうに尻尾を振って、少しピョンピョンして、ついでに前足を私の腕に乗せてきた。おいおい、ちょっと喜び過ぎやっちゅうに。
 吉祥寺に戻ってバス停に行ったら、外はひどいザーザー降り。レインコートを着てバスを待つ。
 バスの中、隣に座ったおばあさんが、この子をチラチラ見ては、うん、うんとうなずいてる。そしてついに言わずにいられなくなったらしく
 「おりこうですねぇ!」と一言。本当に、盲導犬と歩けば必ず経験するシーンだ。そんな日常がとても懐かしい。
 ザーザー降ってた雨は、バスを降りるころにはすっかり上がって、太陽さえ出てきていた。
 協会に到着すると、この子のおなかや足が濡れているので拭いてくださいと、タオルを2枚渡されて、急いで部屋へ。
 「さぁ、おなか拭こうね。」
と、タオルを握ったままハーネスをはずそうとしたとたん、いきなりこの子、何を思ったか大暴走。タオルを噛んで引っ張る、振り回す。自分も回る。ガフガフ言いながらグルグル回る。
 (君はねずみ花火か!?)
ティンクルが激しく回った勢いで、私は思いっきり床にこけた。「ノー!!」と叫びながら起き上がる。ハーネスが付いたままなので、ハンドルがバンバン私にぶつかる。泥水が飛び散る。あわててリードをつかみチョークするがぜんぜん止まらない。いかん!ここで負けててはいかん!コントロールだの何のって理屈を言うてる場合じゃない。完全に本気! もう一度、満身の力を込めて両手でリードを弾いた。ようやくスローダウン。が、まだいつでも燃え上がりそうな興奮状態。
 濡れた体もそのままに、とりあえず服従訓練をしてみた。よかった、落ち着いた。何事もなかったかのように、静かに、可愛いティンクルが座っている。
 この子にしてみれば、ちょっとタオルのひらひらにじゃれて遊んでみただけなのかも知れない。私が遊んでくれると勘違いしたのかも知れない。でもこれはやめさせなければならない。職場には視覚障害児がいるのだ。下手すれば大怪我させてしまう。私だって、半そでを着る季節までには落ち着いてくれなければ、出血多量になりかねない。大興奮してもちょっとうひょひょーんとなったり、ピョンピョンジャンプする程度で済んでいたノエルとは違うのだ。いつでもあんな風になるきっかけはあるのだと覚悟しておかなくては。

 今週から、宮崎にいるときと同じ月・水・金の通院になった。こちらの病院の都合で今までは火・木・土になっていたんだけど、帰ったときに無理なく元の通院パターンに戻すためには、今週中に調整しておく必要があったからなのだ(そうでないと、木曜にこちらで受けた後、月曜まで三日開きになってしまい、それでは私の体が保たない)。が、このスケジュール変更に当たっては、病院に随分無理なことをお願いすることになったみたい。
 というのが、現在お世話になってる病院で、このたび新たにオンラインHDFが導入されたのだが、ちょうど先月に機械が入ったばかりで、まだ動かせる状態になかったらしい。これまで使わせてもらってたオフラインでのHDFができる機械は、月水金には別の人が使っているという。私のためだけに急いで機械を動かしていただくのも申し訳ないので、諦めて、こちらで土曜日まで透析を受けて帰ろうかと思い始めていたのだけど、先週になって
 「来週から機械を動かせることになりましたよ。」
とのこと。そして、それは本当に私のためだったのだ。現在オンラインHDFを受けているのは私だけ。たんに1ヶ月弱の旅行者に過ぎない私が、真新しい機械を一人で使わせてもらっている。何と申し訳なく、ありがたいことだろう。
 オンラインは補液パックの交換とか、水分の残りや引きすぎが頻発するといったトラブルも起きず、とても快適。ただ、今日は病院でも全くの初めてということで、30分おきに血圧を測られ1時間おきに検温があった。寝ているどころではない。でも何にも問題なく無事終了。体もすっきり。おかげで最終の1週間も楽勝で乗り切れそう。感謝でいっぱいです。


          次へ

          「こんにちは、ティンクル」のトップへ

          トップページへ