ティンクルの個性とコントロール 3月8日 ティンクルに出会って、今日で3週間になる。 初めて会ったあの日、この子はひっくり返って私にじゃれついてきた。ノエルといい、この子といい、私にはよくひっくり返る子が来るなぁと苦笑しながらも、その可愛さにすっかり夢中になってしまったのだが… あれからしばらく一緒に過ごしてきて感じるのは、この可愛さ、実はたんなる可愛さではないのかも知れないってこと。計算された可愛さとでもいうのか、ティンクルは、自分をアピールするやり方を、ちゃんと心得ているみたい。 ノエルの可愛さは純粋な甘えん坊の可愛さだった。叱られた後なんか、ほんとにシュンとして、頭を地面にくっつけてへこんでいた。同じことをティンクルに対してすると、とりあえず言うことは聞くけれど、ファオーなんてあくびみたいな声を出したり、喉をぐーぐー鳴らしたりして、さらに前足を私の膝にチョコンと置いて、私をじーっと見つめる。 「ごめんー。や〜だぁ、そんなにおこんないでよ〜。ねぇねぇ、ねぇったらー。」 なんて甘えた声で言われているような気分になってくる。ここでまければ、してやったりとばかりに調子に乗り、膝に上がり込もうとしたり、大興奮してかけずり回ったりする。いかん!可愛い可愛いってだまされたらいかん!ノエちゃんなら間違いなく震え上がるこわーい声で「ノー!」と一括。私はそう簡単にはごまかされんよ! こういう自己アピールなんかができるのは、逆を言えばすごく頭がいいってことだ。それは出会った初めのうちから感じていた。 新しいことを教えても、すぐに易々と覚えてしまう。が、油断すると、すぐに仕事を放棄する。普段から行き着けている場所なら私だってドアでも階段でも一人ですーいすい行けるわけだが、それをまるで知らない振りして探させる。なまじ知ってるものだから、ついヒントになるような方向指示とか与えてしまったり、適当なところで妥協したりする。するとこの子は敏感にそれを察知して、ちんたらちんたらやるばかり。 「なんだよ。あんた知ってんなら自分でやりゃあいいじゃんよ。あたしはここまでやったんだから。」 とでも言わんばかりに鼻をツンと上に向けて知らん顔。自分でよく知ってる場所だからこそ、自身を持って命令もできるし、ちゃんとやらないなら修正もし易いというもの。こういうところでピシッとハンドルして、いざ不慣れな場所へ行ってもキビキビ動けるようにしたいものだ。 今朝はいつも見てくれているK指導員ではなく、男性のH指導員に付いていただいて電車の訓練に出た。指導員にもそれぞれ特色があって新鮮だった。 田無駅まで行き、駅周辺を歩いてみる。私自身がちょっと接し方を変えるだけで、ティンクルがすごくキビキビと動くようになったのには驚いたし、とても嬉しかった。 犬の個性というのは、私が考えてた以上に大きいものらしい。ノエルのように、ひたすらに私を喜ばせたくて、誉めちぎればどんどん伸びていくという子もいれば、この子みたいに一工夫も二工夫もしてやったほうがいいのもいる。そのへんをちゃんと見極めないと、とんだ落とし穴にはまりこむ可能性も。 午後はいつものK指導員さんと中央線に乗った。 三鷹の駅でエスカレータの練習、10回ぐらいぐるぐる回ってこっちが目眩しそう。 午前中の学習効果抜群で、私も気合い入り、ティンクルもだらだらせずに、機敏に動いてくれた。 帰りのバスの中で、この子について感じていることを率直にKさんに言ってみた。つまり、すごく頭が良くて、いつも私の心の内を見抜いてるみたいってことを。 「確かにすごく頭いいし、それだけに接し方を誤ればコントロールが難しくなる危険もある子ですよ」との答え。続けてこんんな風にも言われた。 「でもそこをうまくコントロールしていけば、すごく能力を発揮して、いい仕事のできる犬でもあるんです。そして、Amiさんはそれをできると思うから、この子をお渡しすることにしたんです。」 この言葉は嬉しくもあり、同時にちょっとプレッシャーも感じたりして。でも俄然やる気もりもりになってきた。Kさんも、私がこういう言葉に弱いこと、知ってて言ってるのかな?まぁ何でもいい、しっかりやるぞ〜!そして、この子の持てる能力をどんどん引き出してあげたいな。 次へ 「こんにちは、ティンクル」のトップへ トップページへ |