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吉祥寺


3月5日


 今日からいよいよ吉祥寺コース。にぎやかな繁華街だし、社会復帰も近い感じがして嬉しい反面、何だかひどく疲れる。歩くのがというよりも、とにかく待機時間が長くて。今までは他の人が歩いてる間は温かい部屋でのんびりしていられたけど、吉祥寺は協会から少し離れているので、予め全員車で現地へ出かけ、一人ずつ順に歩くのだ。他の二人が歩いている間は、ひたすら車の中で待つ。待って待って一日過ぎるみたいな感じになってる。寒かったりすると体固まるし、ちょっとしんどいな。
 出かける前、写真を撮ってもらった。一つは使用者証に貼るもので、ティンクルと並んで写った。この子はノエルと違って写真写りが上手みたい。ちゃんとカメラを見て、綺麗に撮れた。
 もう一つは歩いてるところ。ティンクルを育ててくださったご家庭へ差し上げるのだそうだ。その方と私とはお互いを知らず、今後も連絡を取りあうこともないけれど、こんな形でこの子の出発の姿を見ていただけるわけだ。飼育奉仕者の中には、送られた写真を、大切にずっと飾ってくださる方もたくさんいらっしゃるとか。それだけこの子たちを愛しておられたんだね。私も愛する子を旅立たせる経験をして初めて実感できた気がする。 きっとこの子を大切にします。幸せに過ごさせます。本当にありがとうございます!

 写真撮影の後室内に入り、新しいハーネスをもらった。今までは、引退した誰かのを訓練用に使わせてもらってたけど、いよいよティンクルと私のためだけのが渡されたわけだ(卒業が決まればこれにナンバーを刻印してもらうことになる)。1年生のランドセルみたいに、それは真新しくピッカピカで、ベルトも堅くて、なかなかバックルがとめられない。ティンクルも体になじむまで少し変な感じするかも。
 みんなそれぞれに新しいハーネスをつけて出発。
 元気な吉祥寺!
 朝は商店街の搬入をしてる人たち、午後はショッピングの人たちであふれかえる通りを、慎重に歩いていくパートナー。まだまだぎこちなくて、ときどき前の人に突っ込みかけたり、道路をふさぐ人だかりに立ち往生したり。こんなとき、いけいけのノエちゃんを思い出す。私がわざと
 「人がいっぱいだねぇ」
と言えば、彼女がすかさず人混みを鼻でつっついて進む。いきなり膝のあたりからつつかれて、みんなあっけにとられて道を開けてくれるのだ。初々しいこの子にはまだそんな度胸というか図々しさというか、そういうのはないみたい。
 駅前を通り、アーケードを抜けてやく20分の歩行。距離は短かったけど、とても楽しかった。もうすぐ手の届くところに、いつもの日常生活がある。きゃっほ〜!!


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