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二つの思い


2008年2月16日


 昨夜は東京近県に住む妹のところに泊めてもらった。布団に入っても、ノエルを引退先の友達の車に乗せたときの光景が蘇り、涙がこみ上げ、なかなか眠れなかった。
 鳴いていないかな?寂しくないかな?もちろん友達がすごく可愛がってくれることは分かっているけれど、あんなにも私を慕ってくれた子を、自ら手放すことに、一種の罪悪感みたいなものを覚え、心が痛む。
  でも、何を言っても、何を思っても、もう引き返せないし、あの日々は戻ってはこないのだ。元気を出さなきゃ! ノエルがくれた喜び、幸せ、それらを大切にしようと思うなら、頑張れ、Ami!!今日は私の再出発の日だ。
<BR>  妹に車で送ってもらってアイメイト協会に入所した。10年前と同じように、部屋の説明を受け、上野ミーティング室で入校式。さすがに10年も立ってるし、その間に私はここへは一度来たことがあっただけだったので、職員の方も知らない人が多く、何となく前とは違う雰囲気。
 担当指導員は、前回来たときにはまだ見習いさんだった若い女性だ。クラスメートは私の他に二人。どちらも女性で、皆今までにも盲導犬を持っていた経験がある。中でも、私の隣に座っているKさんは、やはり1頭目の子を今朝引退させたばかりということで、まだまだ寂しい感情が抑えられないみたい。そんな彼女に、理事長が
 「誰にでもあることだし、あってあたりまえなんですよ。」
と声をかけられた。これを聞いて、私も少し気持ちが楽になったかな?ここに来て訓練を始めることが、何かとっても、ノエルから遠く遠く離れていくような機がして辛かったから。でも、「前の子のことは忘れてしっかりやりなさい」なんて言われるんじゃなくて、ほんとに救われた。私にとって(たぶん隣に座ってるKさんにとっても)前の子は宝物みたいな存在だし、忘れるなんてできっこないもの。でも、その子たちの思い出を抱きしめたままでも、ちゃんと次の子と頑張れる。だって、次の子は(書類上は代替と言われるけれど)ノエルの穴埋めなんかじゃない。次の子は次の子でまた、もう一つの宝物になっていくんだよね。

 午後からさっそく訓練開始。
 今日はまだ犬がいないから、リード(引き紐)、チョークチェーン(首輪)、ハーネスの扱い方の練習のみ。だけど、どうやら私そうとう変な癖ついてる。ノエルとの間でしか通じない、自己流だ。
 いろいろ説明を聞くにつけ、ノエルが今までしてくれてたことのすごさを思わされる。新しい子が来たら、いっぱいいっぱいかわいがって、たっぷりと力を発揮できるようにしてあげたいな。

 夕方からA病院で透析を受けた。協会のほうでしっかりと予定を組んで、滞りなく私が訓練と透析を両立できるようにしてくださっている。私が今回無事に卒業できれば、たぶんここで初めてのケースになるんじゃないかな。見習い指導員の人たちが交代で送迎もしてくれるのだから、本当に感謝!
   病院はかなり大きくて、スタッフはみんなパタパタパタパタ常に動き回ってる。
 宮崎にいたときと同じHDF(血液濾過透析)でやってもらえることになってるので、どんな感じかなと思っていたら、機械にちゃんと補液を温める装置が付いてるみたいで、これがとてもいい(宮崎の病院には残念ながらこの装置がなくて、冷たい液が直接体内に入るので、かなり寒い思いをするのだ)。いやもう、それだけで素晴らしい!寒い思いをすると体に力も入るし、血圧やら眼圧やら上がってとてもしんどいんだもの。
 それはいいけど、さすがはでかい病院。開始時の順番取りにはややまいった。帰ったら10時過ぎてんだもんね!次からもっと早く行くようにしたほうがいいかも知れない。

 一人の部屋。犬が傍らにいないと、やっぱり寂しいな。でも、すぐそこに、巡り合うべきあなたはいるんだよね?明日になれば会えるんだよね?待ち遠しくてたまらないよ。


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