アンバー:「うふふっ・・・・まさかこんないいものをもらえるなんてねー♪」
うきうきスキップで首都の大通りを通るアンバー。
衣装がいつもと違い男装のような衣装であった。
アンバー:「これは、ジェイドちゃんと二人っきりでいくしかないねー♪」
なにやらチケット数枚を空に掲げ、小躍りまで始める始末。
アンバー:「♪〜・・・・♪〜・・・・」
人ごみなどなんのその・くるくる回りながら通りを進んでいた。
アンバー:「♪〜・・・・キャッ!!・・・・・」
踊りが大きすぎたか、露店のBSの一人にモロに体当たりをかましてしまう。
アンバー:「あー・・・す、すいません・・・・・ちょっと舞い上がってしまっていて・・・・
お怪我はありませんか?」
BSの露天の品が少しと、アンバーの持っていたチケットも散らばってしまった。
ファル :「あ、あぁ。俺は平気だけど・・・って、アンバーじゃん。そっちは?」
散らかった露店の品をさっさと片付け、体当たりしてきたアンバーを気遣う。
アンバー:「あ・・・ファルさん・・・申し訳ありません・・・私は大丈夫です。」
片づけを手伝いながらアンバーが答える。
ファル :「そか・・・それはよかった。 にしても、ずいぶん大はしゃぎだな。
何かイイコトでもあったか?」
アンバー:「ええ、実は・・・・・♪」
聞かれてうきうき気分に戻り、じらし気味に答える。
アンバー:「・・・これです!!」
拾い戻したチケットをファルに見せる。
アンバー:「実は温泉旅館の宿泊チケットを、とあるルートからいただいたのですよー♪」
ババーン!! どーですー? いいでしょー?」
効果音までつけて喜びを表現するアンバー。
よほど嬉しいらしい。
ファル:「いや、たしかにうらやましいが、とあるルートって・・・?」
ふと横を向くと、それほど遠くない場所で福引をやっていた。
ファル :「アレか・・・」
アンバー:「いやーまさか一回で当たるとは思いもしませんでしたからうれしくって♪」
これでジェイドちゃんと温泉で・・・・♪」
なにやら違う方面の妄想が広がっているらしい。
ファル :「何を企んでるのか知らんけど、ほどほどにな・・・?」
グレイトフルデッドでしわくちゃになったアンバーを思い出して苦笑する。
アンバー:「だいじょーぶですよ、おねーさまは強いのですw」
ない胸を張り自慢な様子だが、根拠がよくわからない。
アンバー:「それではファルさんお仕事中お騒がせいたしました。
がんばってくださいね。」
ファル :「あぁ。 そっちも気をつけろよ〜」
露店を開きなおし、アンバーを見送るファル。
ふと地面を見る。
ファル:「ん? これは・・・」
アンバーが見せびらかしていたチケットが落ちていた。
急いでアンバーに耳打ちをする。
−お〜い、チケット拾い忘れてるぞ〜?−
−え・・・・ちょっとまってください・・・
ひぃ、ふぅ、みぃ・・・・・・あ、ほんとだ・・・・−
−俺は露店で動けねぇから、取りに来いよ。確保しておいたぜ。−
−すいません、すぐ戻りますので待っていて頂けますか?−
−OK、早く来いよ。−
ほどなく、大急ぎでアンバーが戻ってくる。
アンバー:「はぁ・・・・はぁ・・・・・す・・・すいません・・・おそくなりました・・・・」
ファル :「いや、これなら早いほうだろう。ほら」
そう言って、拾ったチケットを差し出す。
アンバー:「ひ・・・日ごろ・・はぁ・・・・・はし・・・走ったことが・・・なかった・・・・もので
・・・ひぃ・・・・はぁ・・・・ちょっと・・・・おまち・・・・くだ・・・・さい・・・・・・」
息も絶え絶えで答える。
ファル :「・・・いくらマジシャンとはいえ、体力なさすぎだろ・・・」
呆れた様子でアンバーを見る。
アンバー:「す・・・座ってることか・・・・主なので・・・
歩き回ることが・・・・ないので・・・・・」
ようやく落ち着いてきたようである。
アンバー:「すー・・・・・はー・・・・・
はい、もう大丈夫です・・・度重なるご迷惑ほんとすいません。」
チケットを受け取りなにやら考えている・・・
アンバー:「・・・・・・んー・・・・・」
ファル :「どうしたんだ?」
アンバー:「そうだ・・・ファルさん迷惑のお詫びにこのチケット差し上げます。」
そういって数枚のチケットを差し出す。
見ると、チケットが3枚、こちらに差し出されていた。
思わず受け取ってしまうが・・・
ファル :「いや、悪いよ。せっかくアンバーが当てたんだ。」
アンバーの手には1枚しか残っていなかった。
ファル :「その数じゃぁ、ジェイドと二人では・・・」
行けないだろ? と言おうとしたファルの目に、ある文字が入った。
"一枚で2名様までご利用になれます"
アンバー:「いいんですよーw これペアチケットですし、一日だけいければ十分です。
正直言えば、旅費やお土産代とかも一日行く分くらいしかありませんし。」
照れ隠しにぺろっと舌を出す
アンバー:「ですから皆さんで行かれたほうがチケットも無駄になりませんし・・・ね?」
ファル :「そう言うなら、ありがたく。こっちはちょうど6人だし。」
皆の喜ぶ顔が目に浮かぶ。
ファル :「そうだ、よかったら予定をあわせてみんなで行かないか?」
アンバー:「あ、いいですねー♪みなさんで一緒に参りましょうか。」
ファルの提案に、アンバーが同意する。
アンバー:「それでは、そちらでまず予定を立ててください。
こちらはそちらにあわせますので。」
ファル :「わかった。じゃぁ、みんなで決めたらスグ耳打ちするよ。」
アンバー・「では、よろしくお願いしますね。
こっちはジェイドちゃんに伝えてきますねー」
ファル :「あぁ、よろしく!」
そう言って、アンバーの背中を見送る。
露店もそこそこに切り上げて、"居場所"に戻った。
『住処』に戻ったアンバーは・・・・
アンバー:「ジェイドちゃーーーーーーーーん! 海に行きますよーーーーーーーーー!!!!」
玄関を開けた早々に甲高い声が響き渡る
ジェイド:「・・・・・なんですか帰ってきて早々・・・・・扉くらい閉めてからにしてください。」
ぴしゃりと言い放つジェイド、相変わらず姉には厳しい
アンバー:「そんなことよりー温泉旅館のチケットがあたったんだよー!!
ねー一緒に行こうよー!!」
子どものように駄々をこねだすアンバー
アンバー:「それに偶然ファルさんにもお会いして、チケットあげたらファルさんが皆で行こうって
計画立ててくれたんだよ? ジェイドちゃん、それでも行かないの?」
アンバーはしてやったり顔である。
ジェイド:「・・・・・・・・・姉上、それで断ったらわたくしだけ悪者じゃないですか・・・・
わかりました、行きます。」
アンバー:「やったーーー!! さすが我がいもうとよーーー!!!」
計画成功で、アンバーはジェイドに抱きついて旅行に行くのを盛大に喜んだ。
ジェイドもしぶしぶではあるが、海に行った事はないので楽しみの様子ではあった。
一方、チケットをもらって"居場所"に戻ったファルは、早速アルに話をつけていた。
ファル :「・・・というわけなんだよ。」
アル :「ふむ、海・・・か。」
"海"で何か思い出すものがあるらしく、少々渋っているようだ。
ファル :「・・・アルベルタでのことか?」
アル :「・・・あぁ。海というと、どうしてもな・・・」
ファル :「今回は海水浴場だから平気だって。それに、みんな海水浴なんて初めてだろ?
行かない手はないってw」
アル :「それもそうか・・・じゃ、早速家族会議を・・・」
そうして、皆が呼び集められた。
アル :「・・・ということで、皆で海水浴に行くぞ。」
その言葉を聞いて、4人がはしゃがないわけがなかった。
ジュノ :「海水浴! 海水浴だってよ!!」
ルーシィ:「私、泳げるかなぁ・・・」
ケルビナ:「泳げなくてもなんとかなりますわ! 白い砂浜で日光浴もできますものw」
セラフィ:「あまり日に焼けると、お肌によくないですよ・・・?」
一人、冷静にツッコむセラであった。
ファル :「しかも、温泉旅館に泊まれるんだぜ!」
その言葉にイチバン早く反応したのはセラフィであった。
セラフィ:「温泉・・・ですかぁ・・・」
ルーシィ:「温泉って、みんなで入る大きなお風呂だよね?」
ケルビナ:「そうとも言いますわね。厳密には違いますけれど。」
ジュノ :「細かいことはいいジャン! 楽しんだモノ勝ちだってw」
予想通り、ジュノがイチバンはしゃいでいた。
アル :「で、ジェイド姉妹と予定をあわせて、みんなで行くことになってるんだが・・・」
ジュノ :「明日!!」
アルの言葉の終わりを待たずして、ジュノが叫ぶ。
アル :「ジュノ・・・準備ってモノを考えろ。そもそもみんな、水着なんて1着も持ってないだろ?」
ジュノ :「あ、そか・・・じゃ、今から買いに行こう!!」
言うが早いか、ファルを筆頭に買い物に繰り出す天使連盟一行。
各々の好みの水着と、宿泊準備の品をを"経費"で購入し、"居場所"に戻る。
ファル :「これでだいたい揃ったな。」
セラフィ:「いつにしましょうか?」
ジュノ :「あs・・・」
アル :「ジュノは黙ってろ。」
何か言いかけたジュノをアルが遮る。
すでに何を言うのか予想していたようだ。
つまらなさそうなジュノを尻目に、話は進む。
アル :「早くても明後日・・・というところだな。」
セラフィ:「そうですね。 ジェイドさん達も準備があるでしょうし。」
ルーシィ:「早く行きたいな〜・・・」
ケルビナ:「"事を急いては仕損じる"ですわ。 ここはしっかり準備を・・・」
ファル :「なぁ、今気付いたけど・・・」
ファルがチケットを眺めながら言う。
ファル :「これ、有効期限が4日後だぜ・・・?」
ジュノ :「4日・・・後?」
ファル :「あぁ。間違いない。」
アル :「時間に余裕はないか・・・じゃぁ、明後日だ。」
異存はないようで、全員が首を縦に振る。満場一致だ。
ファル :「じゃ、アンバーに知らせるぜ?」
アル :「よろしく頼む。」
ファルが、日程をアンバーに伝える。
−お〜い、こっちでは明後日行くことに決まったけど、だいじょうぶか?−
−はーい、おまちしておりましたー。明後日ですか、りょうかいでーす。
ではどちらで待ち合わせしましょうか?−
−ん〜、地図によると、コモドとモロクの間くらいみたいだから・・・ピラミッド前集合で。−
−わかりましたーふふっ、たのしくなりそうですね−
−アンバーのその反応が、たまに怖いぞ・・・んじゃまぁ、そういうことなんで。−
−では、明後日にお会いしましょう−
−あぁ、またな〜−
こうして天使連一行+2のたのしい(?)旅行が幕あけようとしていた・・・・
←ssメニューへ
第1章へ→