出雲庭園めぐり | |||||||
出雲庭園めぐりをして来ました。 いささか独断と偏見に陥っているかも知れませんが感じたまま見たままをリポートしたいと思います。 いづれも広くて手入れの行き届いたうっとりするような素晴らしい庭でした。 |
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もの心ついた時から、自宅にある出雲庭園の超ミニチュア版ともいえる小庭を見ながら育った者にとって、他の和風庭園との違いとか、そのルーツのようなものが気になっていました。 しかし参考となる文献・資料があまりに少なく正確なことは良くは分かりませんでした。 何はともあれ、この目で実物を見てからと思い立ちました。 @山あいの奥出雲の庭は裏山を利用した滝や池のある豪快な作風でしたし、出雲平野部の庭は池泉のない平庭回遊式でした。 また比較的近年作庭された観光庭園的色彩の強い庭は四季折々の花を取り入れた美しい庭でした。 天然の山を借景として広大な庭を更にスケールアップしている庭もいくつかありました。 400年くらいの伝統を持つものから作庭されてから10年に満たないものまであり、作風も伝統も更に広さも千差万別でした。 こういった中で出雲庭園としての共通項が果たして見つかるのかいささか心細くなりますが、次のことが言えると思いました。 ・主木が盆栽風に手入れされた黒松である ・砂地に飛び石がある ・石組みがある さてルーツについてどう見るかですが、枯山水をベースとした、茶人である松江藩主松平不昧公の影響での茶庭の趣きということになるのではないかと思います。 その証といってもいいくらい、今回めぐったほとんどの庭で所望すれば500円ほどで抹茶が頂けるようになっていました。 とにかく、どの庭も細部まで綺麗に手入れされており、ついうっとりするような素晴らしい庭でした。 中には和風庭園日本一に選ばれた庭、映画”絶唱”の舞台になった庭、松本清張原作の”砂の器”のTVロケに使われた庭もあります。 Aその素晴らしい庭のミニチュア版が出雲地方のどの家にもあります。 特に築地松に囲まれた出雲平野の各家庭の庭は、豪農家の庭をそっくり小さくしたような作りです。 現在でも抹茶とまではいかないまでも、生活の中に緑茶を飲みながら庭をながめ、こころを安らげる風雅な瞬間があるのは事実だと思います。 生活に汲々としている一般庶民が長年月に渡って庭を持ち、それをめでる時間を持っている事を思うと、少し大げさですが、イングリッシュガーデンにも劣らぬ文化があるのではないかと思いました。 この事を全国いや世界中の人々に知ってもらいたいと思います。 B一般家庭に出雲庭園風の小庭が作られるようになってからでも、かなりの年月が経つものと思われます。 何か新らしいものとの組み合わせで、これまで庭は”おじいちゃんの世界”と思われていたものに風穴をあけれないかと漠然と考えていましたが、今回の庭めぐりで洋の花をさりげなく取り込むことでその事が可能ではないかというヒントを得ました。 自宅の小さな庭で試行錯誤をして見ようと思っています。 C現代の出雲庭園は松平不昧公の影響が一番強いように思いましたが、更に遡ったルーツとして、島根県にも住んだ事がある雪舟の影響があるのではないかということを漠然と考えていました。 これについては文献・資料が更に少なく解明はできないでしょうが、まずはこの目で石見地方とか九州にあるという雪舟が作った庭をいづれの日にか訪れて見たいと思っています。 雪舟庭園にはこちらからどうぞ <雪舟庭園めぐり> Dまだほかにも素晴らしい出雲庭園は沢山あると思います、少しづつ調べてまた出雲庭園めぐりに出かけたいと思います。 自薦他薦問わずご紹介頂ければ喜びます。 さらにもしお許しを頂くご家庭があれば、非公開の個人宅の庭も見学紹介できればと考えています。 それでは、わたしの独り言はともかくフォト庭園めぐりをどうぞごゆっくりお楽しみ下さい。 抹茶でなくても、緑茶、紅茶、コーヒーなど片手に如何でしょうか。 そして、少しでも心が和んだ、美しいと思われた方は、ぜひ出雲に実物を見にお越し頂きたいと思います。 写真とは桁違いの迫力にきっとおどろかれると思います。 心の奥深くを癒しおおきく包みこんでくれることと思います。 何年か前、手入れに時間と金のかかるじじくさい庭は取り払ってしまおうと思っていた自分を恥じつつ、リポートを終わります。 (追記) 昭和50年に刊行された小口基実・戸田芳樹共著の”出雲流庭園”により出雲式庭園または出雲流庭園といわれる事が多いようですが、ここでは出雲庭園で統一します。 ここでの文面は予告なく変更修正を加えることがあります。 |
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参考文献 | |||||||
1.”出雲流庭園” 小口基実・戸田芳樹共著 昭和50年1月10日 小口庭園グリーンエクステリア発行 2.暮らしのしおりNo.5 山陰の歳時記とガイド ”山陰の庭園” 山陰中央TV開局10周年記念特集 昭和54年8月30日 山陰中央TV発行 3.”探訪日本の庭2(山陰)” 昭和54年6月10日 小学館発行 4.”松江余話” 松江まちづくりプロジェクト編 平成1年4月1日 松江今井書店発行 |
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