家 づ く り 

6.「家賃なみの返済で」の大ウソ


 不動産広告などでは、よく「家賃なみの返済で、あなたもマイホームを!」という言葉が踊っているのを見かけますが、これを鵜呑みにしてしまうのは、やや浅はかだと思います。

 なぜなら、家賃は毎月同じ額を1年に12回払うだけですが、住宅ローンには「ボーナス時支払い」というものがあるからです。

 返済にあたって、ボーナス時支払いを選択しないこともできますが、そうすると、その分、毎月の返済額が大きくなってしまいます。到底、「家賃なみの返済」という訳にはいかないのです。

 その上、土地や家を買うとまず、不動産取得税を支払わないといけません(普通規模の家であれば、後に還付手続きを取れば実質戻って来ますが)。住宅ローンを組めば、ローン保証料の支払いが必要です(1400万円でも15万1000円支払いました)。

 不動産取得税やローン保証料は1回限りですが、固定資産税などの税金は毎年払わないといけません。団体信用保険や火災保険、地震保険なども、基本的に毎年支払わなければならないものです。

 我が家の場合なら、現在毎月約7万円弱、ボーナス時約30万円弱の住宅ローンを支払い、その他に、土地建物固定資産税7万円、団体信用保険料3万6000円を払っています。家を建てる際には、これ以外にもたくさんの細かな、そして金額の大きい手数料(融資手数料・担保設定費用など)や印紙が必要でした。

 火災保険はローン期間が15年なので、15年分として一度に33万2000円支払いました。地震保険は5年ごとの更新で5年分8万円を一括で支払っています。

 また、私の居住地ではまだ下水道が整備されていないので、浄化槽のメンテナンスの費用などもかかります。庭木や芝生の手入れの費用なども疎かにできません。

 その上、家というものは建てた瞬間から劣化していくものです。いたんだ服を脱ぎ捨てるように、簡単に新しく建てかえることは出来ませんから、少しずつ修繕していかなければならない訳です。

 家を欲しいと思うときは、こういうマイナス情報に一切目をつぶってしまいがちですが、家を建てた後にも現実の生活は続く訳ですから、まずは堅実な資金計画でもって事に当たることが何よりも大事ではないかと思います。

 昔の同僚ですが、東京郊外の6000万円のマンションを、わずか300万円の頭金で買った人がいました。5700万円の借金です。しかし、入居した直後、ご主人がガンになってしまいました。

 幸いにもご主人は一命はとりとめたのですが、そのために家計は火の車になったのです。つまり、亡くなった場合なら、団体信用保険からお金がおりて、少なくともご主人の分のローンは完済できた訳ですが、亡くならない場合はお金がおりないのです。

 したがって、彼女は働きながら夫婦2人分のローンを支払い、高額な医療費を払い、しかも、自宅マンションとは別に病院近くにアパートを借りて看病するという大変な苦労を背負いこむことになった訳です(実際は親の援助があったらしい)。

 人生は何が起こるかわかりません。住宅ローンはくれぐれも無理のないように、よく考えて組んでくださいね。





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