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改訂版ミサイル行軍・解説

初めに

 以前自衛隊に勤務していた頃、市販のミサイル行軍将棋を購入して改造し、 ゲームに没頭したことがある。 市販のままではあまりにも単純であり、ゲームとしての面白味に欠けていたからである。 当時の盤駒は紛失してしまったが、ルールなどのメモは残っていたので紹介することにした。 基本的に大きな変化はないが、駒の名称等一部は変えてある。

市販品との相違点

  1. 駒の編成と盤
     駒の編成は15種31枚から20種39枚となり、競技盤は1列増えている。 削除した駒は元帥と原爆の2種、追加した駒はロケット等7種、名称の変更が2種ある。


  2. 駒の変更と性能

  3. ルールの変更と特徴

  4. オプション・ルール

実戦の思い出

 実際にこのゲームを指していたのは、もう20数年前のことになる。 その後は一度も指したことはないが、ゲームの状況は結構覚えているものである。 思い出すままにこのゲームの特徴を紹介したい。
 先ずは問題のミサイルであるが、先制攻撃で5枚の駒を除去できることは大成果には違いない。 しかし行軍将棋の第一の目的は駒を取ることではなく、敵の総司令部を占領することにある。 そのためには単に駒を数多く残すのではなく、強い駒を残しておくことが重要なのである。 ミサイルを温存しておけばいつでも敵陣を攻撃できるので、敵にとっては大きな脅威が残ることとなる。 将官級の駒を発見すれば、たとえ1枚であってもミサイルで攻撃するだけの価値があるからだ。 また、行軍将棋においてはどの駒を除去したか、言い換えればどの駒が残っているかを知ることは、 作戦を進める上で極めて重要な要素である。 故に早い時期でのミサイルによる大量破壊は、案外期待した程の効果は得られないものである。 勿論温存したまま敵の攻撃を受け、何ら成果を挙げないまま破壊されては元も子もない。 自陣に入られたら使えないので、ミサイルを使う時期の判断は局面の展開次第なのである。
 ロケットの場合は、ある程度敵の正体を掴まなければ使うわけにはいかない。 行軍将棋の魅力の一つに、弱い駒を強く見せる、あるいは逆に強い駒を弱く見せる、 ポーカーのような駆け引きの妙がある。敵の大将を発見しても、直ぐに射程に入るわけではない。 と言っていきなりロケットを進めて行っても、敵も用心して航空攻撃をかけてくるかもしれない。 それならこちらはその裏をかいて、砲兵をロケットに見せかけて1画ずつ進めていく。 こんな勝負の駆け引きも、ロケットの登場によってより高まったものと断言できる。
 実際の対局では棋力に差があり、殆どの場合ハンディ戦であった。 その方法は将棋のように駒を落とすのではなく、大将もしくは大将と中将の2枚を、 最初から表にしておくのである。ミサイル攻撃を受ければ開戦早々大将を失うことになるが、 ミサイルの温存、ロケットの活用等によって、滅多に負けることはなかった。

終わりに

 三省堂の大辞林によれば、行軍将棋は「児童用」とされている。 従来からの木製の駒の場合には、木目の違いによって裏にしても駒の正体が分かってしまう。 初期の行軍将棋はルールも単純であるし、これでは「児童用」と表現されても止むを得ないだろう。 私達が行っていたのは、複数の駒を購入して新設した駒と共に数セット分用意し、 その中からランダムに1セット分の駒を取り出してゲームに望む方法だった。 それでも何度か続けてゲームしていると、主要な駒は自然と覚えてしまったものである。
 プラスチック製の駒になって隠匿性は増したが、パソコンこそが行軍将棋に最適の素材かもしれない。 駒の隠匿性は完璧であるし、審判は不要かつ完全に公平であるのだから。 残念ながら市販ソフトの思考力は貧弱であるが、どうしても大きな需要は見込めないので、 メーカーとしてもそれ程力を入れることが出来ないのであろう。  行軍将棋は児童用と紹介したが、その本質は極めて高度な推理力を必要とするゲームだと思っている。 ここで私が紹介したこのゲームを実際にやってもらえれば、直ぐに実感出来ることと思う。 ロケットで忍び寄るときの緊張感は、決して他のゲームでは得られないであろうから。

このゲームは特許申請はしていないので、自由に行って差し支えありません

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