日本丸
初代の練習帆船『日本丸』で、昭和52(1977)年11月に横浜港で撮影。
帆船の帆の張り方には様々な形式がありますが、
本船の場合は4檣バークと呼ばれるもので、
前3本のマストには各々6枚の横帆を張るようになっています。
しかしこの写真では帆を張るためのヤードが5本しか見られませんし、
古い写真ですが5本のヤードで機走しているものもあります。
帆走時の写真で5枚の帆と言うのは見たことがありませんが、
このあたりの事情をご存知の方がおられましたら是非ともご連絡下さい。
『艨艟を訪ねて』の錨の話(2)の中でも述べていますが、
岸壁に横付けされた船舶は通常錨を打つ必要はありません。
陰になるのでちょっと分かり難いかもしれませんが、
日本丸の場合にはこの写真でも反対舷の錨を下ろしており、
他にも岸壁係留で錨を下ろしている写真が見られます。
練習船と言う本船の任務を考慮すれば、
自力出港の訓練を実施するために投錨しているのかもしれません。
なお本船の錨はストックアンカーなので通常は船首楼甲板に固定し、
入港時には吊り錨の状態にしておく必要があります。
接舷側のボートダビットが振り出されて降ろせる状態になっていますが、
実用性は無いのであるいは一般公開に備えての行為かもしれません。