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道中の楽しみ

 観劇も遠方まで出掛けて行くとなると、費用も時間も馬鹿になりません。 折角行くのなら観劇だけでなく、その道中も楽しみたいものですね。 勿論公演先に名所でもあれば、行ったついでに立ち寄ってみるのも良いでしょう。 要は如何にして観劇を効率的なものにするか、と言うことに尽きると思います。

 今回は青春18切符の使用期間を過ぎているので、 一番交通費が安くなるJR一周切符(これは私が勝手に呼んでいる物で、 正式な名称では有りません)で行って来ました。 居住地の高崎駅から長野経由中央西線で金山経由東海道線・高崎線を乗り継いで高崎駅に戻るという、 高崎発高崎着の乗車券です。 乗車区間がダブらないようにすれば、この方法が一番安上がりになります。 乗車区間がダブル場合には、その区間だけを別に買った方が得になる場合が多いですね。
 新幹線が出来る前はもっと安くいけたのですが、 信越線が廃止になってしまったので、現在では新幹線を使わざるを得ません。 時間は短くなったけれど、道中の楽しみは無くなってしまいましたね。 長野駅での楽しみは駅弁の「信濃雪鱒の笹ずし」ですね。 熊笹に包まれた紅鱒の押し寿司とが3個ずつ入っており、 740円と価格も手頃でお薦め品です。
 長野からの篠ノ井線は普通列車で行くとスイッチバックの駅などがあって面白いのですが、 今回は早起きしなかったので、名古屋市内の千種駅まで特急利用となりました。 一応新幹線乗り継ぎとなるので、特急料金が半額となることを計算してのことです。 特急の場合は走行専用の線路を走るので、前記の駅は通過してしまいます。
 関東地方の平野部では桜は散ってしまいましたが、長野ではまだ咲いていました。 でも桜より見応えがあるのは濃いピンクの花、桃か杏と思われます。 果樹園に植えられた木なので、何十本もの木が一斉に花を付けていて見事なものです。
 篠ノ井線は単線なので、特急列車でも行き違い列車の待ち合わせのため、 本来の停車駅では無い駅に停まることもあります。 今回の場合は坂北駅で2分ほど停車しましたが、こんなことでイライラしてはいけません。 閑散としたプラットホームの遥か彼方には、まだ雪の残る北アルプスの峰々が見えます。 磁石は持ち合わせていないので正確な方角は分かりませんが、 鹿島槍ヶ岳・爺ヶ岳を中心とした稜線かと思われます。 幸い観劇のために双眼鏡を持参していたので、ばっちりと眺めることが出来ました。
 坂北駅を出た後も雪を抱いた稜線は見え隠れしていますが、 松本に近付くにつれて手前の山陰に隠れてしまいます。 車窓を楽しむためには座席をどちらにとるかが重要で、 上り名古屋行きの場合には進行方向に向かって右側となります。 自由席は2両でしたが、禁煙車は窓側の席が空いていなかったので、 やむを得ず喫煙車に座ることとなってしまいました。 しかし平日昼頃の列車だったので乗客の数も少なく、 煙草の臭いで悩まされることはありませんでした。

 塩尻駅を過ぎて木曽路に入ってからしばらく走ると、右手に木曽川の流れが見えてきます。 木曽川と並行して走っていく距離はかなりあるので、こちらも座席は右側がお薦めですね。
 会場の名古屋市民会館は金山駅下車ですが、特急は停まりません。 予定では千種駅で乗り換えるつもりでしたが、 ちょっと気分を変えて1つ手前の多治見駅で乗り換えることにしました。 時間には余裕があるので、始発駅なので座って行こうと考えたのです。 千種から金山までは立っていたとしても大した距離ではありませんが・・・
 名古屋公演と言うとつい名古屋駅まで行ってしまいがちですが、 会場のある場所を把握しておけば、無駄足を踏まずに済むのです。 「極楽町〜」公演の時の御園座の場合は名古屋駅が最寄の駅となりますが、 中日劇場だと千種駅の方が近いんですね。 尤もこれは中央西線を利用した場合のことで、 東海道線や新幹線利用の場合は、やはり名古屋駅下車となるでしょうけれど。

 帰りの利用列車も思案の為所で、案内によれば終演時刻が予想より大分早いので、 夜行列車で帰る予定だったのを急遽再検討です。 金山から名古屋に出て新幹線に乗ればすんなりと帰れるが、 それでは余計な出費となって面白くない。 時刻表とにらめっこして出た結論は、静岡からの新幹線利用が最善というものであった。 1時間半ほど余分に時間がかかるが、二千円弱の節約になる。 本を読んでいれば時間は無駄にはならないので、 牛丼5杯(以前は7杯食えたのに)分の経費節減の方が有りがたい。
 折角名古屋まで行ったので、駅の売店で守口漬けをお土産に。 守口漬けは特産品の守口大根を使った漬物ですが、 実はこれ、檀ちゃんのお薦め品なのだそうです。 守口漬けについては、機会があったら改めて紹介することとします。
 最初の予定では夜行で帰って翌日は花組公演を、と思っていたのですが、 残念ながら22日昼の部は貸切公演、 夜の部は18時半開演なので帰りが遅くなってしまうので断念。 なかなか思うようには行かないものです。
 月組公演自体は不満も残るものでしたが、 観劇旅行として捉えればまあまあの旅だったと思っています。

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