月は夜?

 「LUNA」の中で、昼はアレックス、夜は月読になるという設定がある。 それまでの流れからして、月読への変身は月の運動に支配されていると考えるのが妥当であるが、 そうなると大きな矛盾が発生する。果たしてその矛盾に気が付いた人はいるだろうか。
 うっかりすると、太陽は昼・月は夜、と考えてしまいがちだが、 昼間でも月が見えることを知っている人は少なくないと思う。 昼と夜は月の運動とは無関係で、太陽の運動によって決まるのである。 従ってアレックスが夜になると月読に変身するのであれば、 それは月ではなく、太陽の影響を受けていることになるのだ。

 太陽と地球・月の関係を簡単に図示した。先ずは満月の場合だが、この場合には (A−C−D)の間で見られ、太陽は昼・月は夜、という関係が成立する。しかし半月の場合には 見ることが出来るのは(B−A−C)の間であり、昼に半分・夜に半分見られることになる。 満月は夕方東の空に上ってくるが、半月の場合は既に頭上に来ているのである。
 三日月の場合には昼間見えている時間の方が遥かに長く、夕方には太陽の後を追うように 西の空に傾いており、夜が更けてから見ることは出来ない。映画やテレビドラマ等で、 深夜に三日月が出ている場面を見かけることがあるが、あれは完全に間違いなのである。

 宝塚ファンは優しい。もしこれがSF小説だったら、このようなミスは許されない。 尤も最近は情勢が変わってきたようで、映画等でも「S」は「Science」の意味ではなく、 別な単語の頭文字として使われているのかも知れない。
 「LUNA」はSFミュージカルと言うことで期待していたのだが、 私としては「S」の部分に大きな不満が残った。 結局はストーリーを追うのではなく、檀ちゃんを追うことになった作品である。

散歩トップへ  不忘檀麗トップへ