1914/マーサ
日本では宝塚歌劇団が誕生した1914年、
世界ではどんな出来事が起こっていたであろうか。
ヨーロッパでは第一次世界大戦が勃発しているが、
これは多くの人が知っているものと思われる。
アメリカ合衆国では同年9月1日、
オハイオ州シンシナティにおいてマーサが亡くなっているが、
果たしてどれ位の人がこの出来事を知っているであろうか。
マーサと言うのは、シンシナティ動物園で飼育され、
最後まで生き残っていたリョコウバトの名前である。
リョコウバトはかつて北米大陸に棲息し、
その数は推定で50億羽とも言われている。
しかしヨーロッパからの移民が増加し、
アメリカが独立して大陸中央部から西部へ進出するようになると、
僅か300年そこそこの短期間でリョコウバトは絶滅してしまった。
食用として、あるいは単に快楽のために殺戮されたのである。
第一次大戦に関しては学校でも教える。
しかしリョコウバトの絶滅に関しては、学校で教えることは無いだろう。
20世紀は絶滅の世紀とも言われているが、
その傾向は21世紀になっても衰えない。
リョコウバトの後にも多くの動植物が絶滅し、
その頻度は加速度的に強まっているのである。
地球上には多種多様の動植物が生息し、
複雑に影響を及ぼしながら地球の生態系が成り立っている。
人間もまた、それらの生き物に支えられて生きているのである。
多くの生物が絶滅し、一部の生物しか生き残っていないような世界になれば、
人類の絶滅も遠からず訪れることになるであろう。
鳥や鯉の新型ウイルスは、あるいは人間への警告であるかもしれない。
もしも生態系のバランスが著しく崩れるようになれば、
SARSなど比較にならない程強力なウイルスが出現するかもしれない。
自然環境に対しても清く正しく美しく行動することは、
人間の地球に対する義務ではないだろうか。
※リョコウバトの詳しい説明はこちら→
リョコウバト
HPへは→
The World of Zoology
※発見から30年足らずで絶滅した「ステラー海牛」の小説はこちらから→
幻の海牛を求めて
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