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 飛鳥夕映え/タカラヅカ絢爛U(10月5日東京宝塚劇場)

 くららさんの退団も間近となり、 阪急交通の貸切公演を夢組で追加募集していたので急遽観劇することにした。 当日券も販売されると言う情報も流れていたが、 2階席にはかなりの空席も見られた。 前売りだとチケットの郵送料500円が上乗せされてしまうが、 当日窓口での定価販売なら貸切公演はお得な観劇になると思うのだが・・・
 開演時間は6時半だが、これは多くの人にとって遅すぎる時間かと思われる。 以前歌劇誌で遅い開演時間を望むと言う投書があったが、 恐らくそんな意見を取り入れたものであろう。 確かに東京勤務の人は終業後に観劇することも可能なので便利になるかもしれないが、 中・遠距離に住む人にとっては遅い終演時間が致命的な問題となる。 6時半開演でも結局仕事は休むことになってしまうし、 帰りの便に間に合わなければ宿泊で余計な出費を強いられ、 観劇のために2日間を費やす羽目にもなってしまう。 それで便利になる人もいるので止むを得ない措置ではあるが、 貸切公演の場合には避けて欲しいと思っている。
 
 司会は夢組ではお馴染みの真山葉瑠さんで、 開演前の組長挨拶ではゆらさんが5組の中で「最も若い」組長であることを強調していた。
 芝居の「飛鳥夕映え」はアドリブの入れにくい作品だったのか、 それとも彩輝さんのお披露目公演で堅実にと言う方針だったのか、 いつもの公演と変ることなく終了した。
 目玉である役替わりは「鎌足=瀬奈・軽皇子=貴城・石川麻呂=大空」の組合せだったが、 特別に個性が発揮されているような印象は受けなかった。 それぞれのファンにとっては面白い企画かもしれないが、 あまりも短期間で役を替えても十分にはこなし切れず、 そのために作品自体にも深みが出なくなってしまったと感じられた。
 
 ショーの方も出だしはいつもと変らず、 ハバナの場面でも目立った変化は全く見られなかった。 ただし嘉月さんが抱いていたパンダ(?)の縫ぐるみにアフロの鬘を被せていたのが、 あるいは数場面後への布石であったのかもしれない。
 異変(?)が起きたのは「真夜中のパーティー」で、 瀬奈さんが銀橋で歌っている時にはまだ普通だった。 しかし舞台に戻ると袖から出てきた貴城さん(だと思う)はアフロヘアーで会場に笑いが・・・ その後続々と出てくる男も女も皆アフロで会場は大爆笑、 一端袖に下がった瀬奈さんも、当然アフロを被って再登場である。
 
 全員がアフロヘアーでの群舞となったが、やはり極め付けはゆら組長。 塩沢トキもびっくりの巨大なアフロで踊りまくっている。 組長のショーでの役名は「オバタラ」となっているが、 数年前だったら確実に「オバタリアン」と命名されていたことであろう。
 ここまで来ればトップコンビのアフロも予想されるが、先ずは彩輝さんから登場。 2階最後列の席なので、階段から降りてくる彩輝さんは足だけしか見えないのだが、 会場のどよめきから黒い普通のアフロで無いことは想像が付く。 やがて目にしたそのアフロは、右図のように散髪屋泣かせのド派手なものだった。 図では表示できなかったが、一番外側の緑色は羊の角のように渦を巻いていた。
 最後に降りてきたのはくららさんだが、 会場の反応はどよめきと言うよりも拍手が多かったかな? 彩輝さんのアフロから見てもピンクのアフロであることは十分に予想できたのだが、 更に上部の左右を中国娘のようにまとめ、黄色いリボンで結んでいた。 流石に娘役だけあってアフロを被っても品を落とさず、 可愛らしく仕上がっていたのには感心した。
 
 その後は通常公演と変らず進んだが、 終わりの方で妖精たちが帰り、オバタラがマリアを抱き起こす場面。 再び巨大アフロで登場したゆらさんは適当にくららさんをからかった後、 アフロを指差して「これでトラピックスのイメージキャラクターは私のものね」、 と言いながら袖に消えていきました。 勿論、既に白羽さんに決まっていることは知ってのことでしょうが、 もし大劇場でこれをやっていたら・・・ もしかしたらトラピックスのイメージオバサンになっていたかも知れませんね。 訂正!宝塚だから年令に関係なくイメージガールですよね・・・
 
 終演後は貸切恒例のプレゼント贈呈とトップの挨拶がありましたが、 くららさんがイメージガールとなっていることに加えて最後の公演なので、 彩輝さんに促されてくららさんの挨拶もありました。 以前紫吹さんからいきなり挨拶の要請があった時には途惑っていましたが、 今回は打ち合わせしてあったようで落ち着いて挨拶を述べていました。 欲を言えば余りにも優等生過ぎた感じがしましたが、 まだ若いくららさんですから止むを得ないことでしょう。
 挨拶も終わって幕が中段まで降りた時、いきなり真山さんが幕が下りるのを止め、 二人にアフロヘアーで登場したことへの感想を尋ねました。 これも打ち合わせがしてあったのか、 二人揃って踊りだすと共に再び幕が降りてきて終了となりました。

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