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 王家に捧ぐ歌(9月27日東宝劇場)
 東京公演で一番心配になったのはオーケストラであったが、予想以上の出来栄えで安心
した。新しい劇場になってから常に臨時編成の楽団であり、観劇できなかった花組「エリ
ザベート」公演では不手際が多かったと聞いていたので、オペラ仕立ての本公演での演奏
はとても気になっていた。「エリザベート」では歌う方も難しいと言っていたから、演奏
者にしても難しい曲だったのかもしれない。「王家〜」の場合には作曲者が意図していた
のかどうかは分からないが、「エリザベート」に比べると易しい曲(一般的な曲と言うべ
きか)が多いようにも感じられた。
 大劇場公演とは若干異なる場面があるとは聞いていたのだが、意識的に違いを感じられ
るような場面はなかった。ほぼ全篇が歌なので全体の流れは変えようもなく、台詞の入る
場面で変えたのだろうが気が付かなかった。大劇場公演も2回しか観ていないので、余り
細かい所までは覚えていないことも影響しているのだが・・・しかし見方を変えれば、大
劇場公演が完成度の高い作品であったと言うことも出来るかもしれない。元々がオペラな
ので長大なストーリーではなく、本来の大筋から外れた脚本とするには著作権の問題も絡
んでいるのかもしれない。ストーリー的には荒っぽい作品なので、上演時間が許せばより
きめ細かな作品にして欲しかったのだが。
 大劇場で気になっていた2幕8場からフィナーレへの移行は、心成しか幾分長くなって
いるように感じられた。単なる出遅れで無ければ良いのだが・・・

 檀れいさんに関しては、歌っている時に幾分かの余裕があるように感じられた。やはり
実際に観客を前にしての5週間余りの大劇場公演は、稽古でのどんな歌い込みよりも効果
があったのかもしれない。旋律を忠実に追うだけでなく、感情もより一層歌の中に入り込
んできたことが、大劇場と比べての最大の進歩ではないだろうか。私人としてのアムネリ
スの演じ方も、大劇場より良くなっていると思えた。たとえ少しずつであったとしても、
檀れいと言う人は着実に前進している人であると言えよう。
 東宝劇場でのB席では舞台の見え方が気になっていたが、アムネリスが壇上で上手から
登場する場面では顔が切れてしまったが、他には特に気になるような場面はなかった。2
幕の終わり、第8場壇上での宣言は顔が見えなければどうしようもない場面であったが、
迫上がりも余り高くなく、余裕を持って観ることが出来たのは幸いであった。

 この公演ではエジプトの兵士として多数の若手娘役が参加していたが、これらに注目し
て見ていると面白い。凱旋のシーンは一種のマスゲームであると言っても良いが、娘役の
演ずる兵士はどう見ても兵士とは見えず、まるで中学生のマスゲームを見ているような感
覚であった。娘役の場合には子役を演ずることも多いが、本当に子供子供していて微笑ま
しく、その前のぎこちない戦闘シーンよりずっと好感が持てた。

 本日昼の部の公演は星組総見であったが、貸切公演ではなく一般の公演であった。その
ためと思われるが、会場でも総見と言う雰囲気は余り感じられなかった。出演者の方にも
総見と言う意識は見られない様に思えたが、やはり総見日は貸切公演に合わせた方が良い
と感じられた。

 この日の公演に限って言えば、檀ちゃん2幕6場でちょっと失敗。囚人服のラダメスに
寄り添う時に何かが落ちた・・・舞台にはハンカチの様な物が落ちているが、一体あれは
何だろう?良く見るとアムネリスの右腕と左腕とが違っている・・・左腕にある腕飾りが
右腕には無い・・・落ちていたのはアムネリス様の腕飾りでした。マジックテープで止め
ているのだと思いますが、ちょっと止め方が甘かったようです。
 フィナーレEのデュエットダンスでは、湖月さんの回すスピードが凄かったですね。3
回目くらいが一番速かったと思いますが、あのスピードはダンスと言うよりもプロレス技
と言った方が適切かもしれません。回転の回数や高さではこれを上回る人もいたでしょう
けれど、スピードの点では今までに見た中で最高のものでした。

<追加>
 観劇評ではありませんが、これからご覧になる方のために意外な見所を一つ。
 最初に登場する時に被っている白い被り物、あれは孔雀を表しているのだそうですが、
余り孔雀には見えないかと思います。ところが・・・真横からライトが当たった時にその
影を見て下さい。そこには正しく孔雀のシルエットが・・・
 2幕2場、青紫の衣装で登場する時の黄金の被り物、正面から見ても棒が一杯出ている
だけで何を表しているのか良く分かりませんが、これも真横からライトが当たると・・・
恐らく孔雀だろうと思いますが・・・
 ちょっと邪道かもしれませんが、こんな楽しみ方もあると言うことで・・・
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