郊外のちょっとした山の南斜面、
狭い谷の奥にまで水田が延びている。
棚田と言うと山の斜面に広がる風景が良く知られているが、
谷間の水田も棚田と呼んで良いのだろう。
しかし農家の高齢化に伴ってか、
放棄されて荒れ果ててしまった田も多い。
谷間なので日当たりの悪い所から放棄されているようだ。
水源は山の斜面からの流れてくる水に頼ることになるので、
何箇所かに溜め池が作られている。
 
野の花を求めて池の周辺を散策していると、
グォーグォーと言った感じの鳴き声が聞こえてくる。
都市部では全く姿を消してしまったウシガエルの声だ。
まるで自分がこの池の主だと言わんばかりの鳴き声だが、
足音を忍ばせても近付くと一斉に水中へ逃げ込んでしまう。
芭蕉の句では飛び込んだ蛙の種類までは不明であるが、
水音が「ポッチャン」と言った感じの小さな蛙だろう。
巨体を躍らせて「ドッブーン」と水に潜るウシガエルでは、
芭蕉の句のイメージは湧いて来ないだろう。
 

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