晴れ上がった夜も更けた頃、
庭にある外流しのバケツの縁に蛙が座っている。
庭の周辺では他に水場が無いので、
水の溜まっているバケツを狙ってやってきたのだろう。
 
以前は十数匹の蛙が見られたのだが、
最近見かけるのはこの一匹だけである。
今では近くの池や川は無くなってしまったから、
たとえ相手がいたとしても繁殖する場所は無い。
環境の悪化で天敵の蛇はいなくなったが、
それはまた蛙の棲息地をも奪ってしまったのである。
この蛙が我が庭の最後の蛙となることは確実であるし、
蛙にとっても最後の住処となることだろう。
 
もう少し経てば蛙も冬眠の季節となる。
果たして来年も会うことが出来るだろうか。
 

 俳句トップへ  花畑トップへ