頭上で何やらウォーンと唸り声のような音がしている。
どうやら蜜蜂の集団の羽音のようだ。
しかしそこには名前を知らない常緑樹が有るだけで、
花らしきものは見当たらない。
種が飛んできて勝手に生えて大きくなった木だ。
蜜蜂が舞っていると言うことは、
花が見えなくても花はあるはずである。
2階に上がって双眼鏡で覗いてみると、
小さな白い花のようなものが見えた。
いや「ようなもの」では無く、
間違いなく花である。
人間が観賞用に育てた木ではないから、
花も目立つものを咲かせる必要は無いのだろう。
匂いがあれば花は小さくても蜜蜂はやってくる。
人間の都合には関係なく花を咲かせる。
これが本来の姿なのだろう。