5月・・・
本来ならば、空を舞う多数の燕が見られるはずである。
それが日本の5月の空だったのだ。
我が家の軒先には、古い燕の巣がある。
もう40年以上経っているはずである。
燕は南方の越冬地から戻ってくると、前年と同じ巣に入るそうである。
軒先の巣は、空き家になって久しい。
毎年期待しているのだが、新しい住人はやって来ない。
ボロ家は嫌いなのかな・・・
自然と親しんできた日本人は、
燕を害虫駆除の益鳥として大切にしてきた。
だが日本が経済成長と言う魔物に支配されてからは、
燕も単なる一野鳥としてしか見なされなくなってしまった。
経済界にとっては、益鳥でも何でもないからだ。
環境の変化も悪影響を与えていることであろう。
巣の材料集めにも苦労するだろうし、餌場も減っていることだろう。
地面すれすれに飛ぶ燕は、自動車による死亡も多いことだろう。
燕に優しい環境は、人間にも優しい環境である。
燕の飛び交う日本の姿は、
もはや空想の桃源郷に過ぎないのであろうか。