群馬県は長い間養蚕が盛んであった。
水田耕作が困難な山間部だけでなく、平野部でも桑畑が広がっていた。
桑の木は大きく成長しないように管理する。
蚕の食料となる葉を採り易くするためだ。
最後には細枝を全部切り落としてしまうので、
秋冬の桑畑には株の部分だけが並ぶことになる。
毎年同じことを繰り返しているので、
古い株はごつごつとした怪物のような姿になる。
 
桑畑は何故か砂地になることが多いようである。
そして桑の木の株下には、寄り添うようにスミレの花が咲いている。
野生種のスミレは砂地を好むのだろうか。
それとも単に日当たりが良いからであろうか。
あるいは北風を避けるためなのであろうか。
いかつい桑の木の株は、スミレを守る弁慶のように立っている。
 
養蚕が衰退するにつれて、
このような風景は見られなくなってしまった。
殺風景と言う侵略者に駆逐されてしまったのだ・・・


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