今年は夏が来るのが異常に早かったが、
秋の気配が感じられるのも早かったようである。
日中はまだ暑い日もあって蝉も鳴いているが、
夜になると涼しくなって闇は虫の音に占拠される。
 
日本人は昔から虫の音を好み、
音楽として楽しんできた。
自然を畏れ、自然を敬い、自然と共存してきたからこそ、
虫の音も生活の一部として入り込んでいたのだろう。
うるさいほどに聞こえる虫の音も、
夜が静かであることの証明でもあるのだ。
 
西洋人には虫の音は雑音としてしか聞こえないと言う。
そして日本人も生活の欧米化に伴ってか、
やはり虫の音を雑音と捉える若者が増えていると言う。
深夜に轟き渡る自動車の爆音、
出力一杯の大音量で鳴り響く電子楽器、
これらに支配された地域に虫の音の入り込む余地は無い。
 
静かな夜は何時まで保てるのだろうか・・・

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