農道で雀の群れが戯れている。
群れとは言ってもせいぜい20羽止まり。
昔のように100羽を超すような群れは見られない。
雀が繁殖できる環境が激減しているからだ。
 
田圃では稲穂が頭を垂れている。
しかし案山子の姿は滅多に見かけることが無い。
苦労して増産を図る必要も無いからだ。
案山子が威嚇の対象としていたのは主に雀だった。
その雀がいなくなれば、当然案山子は失業する。
米の価格が安いこともあり、
案山子を雇うほどのことも無いのであろう。
 
案山子は雀を威嚇しても殺すことは無い。
案山子は人間の作った製品ではあるが、
自然に溶け込んで平和な情景の一役を担っていた。
案山子のいない殺風景な水田は、
現代人の荒んだ心を映しているとも言うことが出来よう。

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