蛙の合唱・・・田舎では毎晩のように聞かれたものである。
田植え時はその最盛期であるが、
今年は殆ど聞くことが出来なかった。

言うまでもなく、蛙の子供はお玉杓子である。
農道が舗装されてもしばらくの間は、脇を流れる堀にはお玉杓子がいた。
そして成人式でも行われたかのように、一斉に蛙に変身する。
蛙になれたのが嬉しいのか、道を越えて隣の水田に向かっていく。
数が多いので車に轢かれないかと心配になるが、
潰された蛙はあまり見たことがない。

やはり幼生時には水棲のトンボの姿も見かけなくなった。
その原因を農薬に押し付けるのは簡単だが、
根本原因である都市化・コンクリート化を無視してはならない。
河川が息を出来なくなったら水棲動物は絶滅する。
メダカの学校は廃校となり、
夕焼けに赤トンボが飛ぶこともなく、
蛙の合唱もまた聞かれなくなった。
童謡の世界が消え去る時、
人間の心もまた消滅する。

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