『クラブ運営について』   8期部長 長谷川


 「一年間」とても短い期間であった。しかし私にとってそれがとても長く、重く、そして素晴らしく感じられた時があった。

私が部長になったのは、2年の終わりである。

我がクラブに入って約1年と8ヶ月しかたっていない私に先輩達はクラブの運営をまかせてくれた。

これはとっても光栄であるとともに、私にとってはとても重大な事である。

私が部長に任命された時、はじめに脳裏に浮んだ事、「私に出来るであろうか」「部員達が私についてきてくれるであろうか」

「このままの状態でクラブを続けていく事が出来るであろうか」等、不安が頭の中を駆け巡り、

その時の私はまるで真暗い部屋の中に突然つき落とされた様であった。


 クラブ活動をはじめて運営したのは、春の八丈島の合宿である。

先代、先々代の部長に負けじとその心意気だけが先走り、合宿日より一週間早く八丈島へと飛んだ。

しかし、頭の中での計画は完全に出来ているにもかかわらず、八丈の海を見たとたん私の考えは土台から崩れていった。

私の考えはあまりにも自己中心、クラブ優先であったため一番肝心な海の状況を無視していたからである。

その時私は、我がクラブの部長としての責任を再認識せずにはいられなかった。

それからの私は、海を「生き物」として見る目を作るため1時間も2時間も海を見詰めた時もあり、

本気で海の心を知ろうなどと考え続けた事もある。

そうこうしているうちに、約1年間が過ぎていった。

そして、1年間海を見続けた私の目は、すっかり海を生き物として見、また私の感覚はすっかり海の状況を人にたとえ、

「泣き」、「笑い」、「怒る」などというふうに感じるようになっていた。


 私がこの一年間に海から学んだ事はとても多い。

その中で「待つ」、「あきらめる」等、海に対し我々ダイバーは、受身の体制を取らざるをえない時がある事を知った。


 これからのクラブを運営するにあたって、新しいものをどんどん取り入れていく事は決して悪い事ではないが、

その反面、海に対しての受身の体勢を取らなくてはいけないというダイバーとしての自覚を忘れてはならない。


        


文集もくじ