正直、介護しながら書くのは無理だったが……。
それからほぼ、小説やエッセイっぽいものをポメラで下書きしている。あとでPCに落とし込んで、一太郎で推敲して、折本ソフトなどにうつす。 頭の中で「いい小説がほんとうに書きたい?」という言葉が響く。ほとんど毎日だ。なにかの一瞬、油断していると響く。これは病気だ。おまえはもう、小説を書きたいなんて思っていないだろう? いや何かは書くけれども、何かシリーズとして新しいものをというところまでもっていけないだろうと。まだ書いていないものは何かの残滓だ。もしくはすでに書いたけれど書いたことを忘れていることだ。いつの間にかおそろしいほど年をとってしまった。退職まであと何年か、指を折って数えられるほどになってしまった。昔、職場の先輩が、新しい仕事をおしつけられるたびに「老いた犬は新しい芸をおぼえないっていいますよ」と苦笑しながらこなしていたが、私もあの時の彼女にどんどん近づいている。怖い。順番だが怖い。これからは職場も人が減っていくから、指を折りきっても働いているかもしれない。それも怖い。就業規則をいくら読んでも覚えきれないことがあって、アンチョコでやりすごしているのに、これ以上なにか新しくなったら大過なく働き続けられないのでは、と。 とりあえずもうしばらくは、ポメラをモバイルバッテリーにつないでおくつもりだ。
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