▲手に優しい筆記用具が欲しい


若い頃の私は、筆圧が強かったようです。
手の力が強かったわけではないのです。ピアノのレッスンに行くと、指に力が入っていない、とよく先生に叱られました。小指が転んで音の粒が揃っていない、肩から力を込めろ、鍵盤は真上から強く指を落とせと、繰り返し指導されたものです。
しかし、シャーペンの芯はすぐ折れます。高校の頃、私を嫌っていたクラスメートは、テスト中の筆記の音がコツコツうるさい、と文句を言ってきました。社会人になってパソコンを使うようになると、職場のノートパソコンでも、家のデスクトップと同じ勢いで、カーンカーンとエンターキーを叩いていたので、「なりはらさん、壊れるからもうちょっと優しく」と言われました。
しかし今では、そんなことも言われません。もちろんスピードを上げればキーボードの音は高くなりますが、筆圧は昔ほどではない。というか、手が疲れて、すぐにまともに字が書けなくなります。なので、手に優しい筆記具はないかといつも探しています。できるだけ手書きの作業をしたくなくて、挨拶状なども手書きフォントでごまかしていたりします。
そんな私が、手に優しいと思っている筆記用具について、少し書いてみます。


●万年筆 ぺんてる「トラディオ プラマン」


万年筆は本当に好みの話になると思うので、こだわりのある人にあらためてオススメする気はないのですが、これは本当にペン先が柔らかくて書きやすいです。水性ですが、宛名書きに使っていた時もあります。使い始めはペン先が少し紙にひっかかる時もありますが、慣れてくると本当に楽です。柔らかすぎるという人はカッターでペン先をカットする、なんて裏技もあるようです。
大きな欠点はありませんが、裏移りする紙には使いにくいです。また、インクがなくなるとペン先ごと取り替えることになるので、そこが気になる人はダメかもしれません。


●ボールペン パイロット「ドクターグリップ」


このシリーズはシャーペンもあるのですが、私は使っていません。シャーペンにしては重いし、後述の難点があるからです。
ボールペンは適度な重みと太さがあるので、普通のペンより持ちやすいです。人に貸すと「すごく書きやすいですね」とびっくりされたりします。インクカートリッジが短かめなのでインクが切れるのが早いので、替え芯は常に用意しておいた方がいいです。また、線はやや太めがデフォルトなので、細い線が書きたい人は、ジェットストリームなど、別のペンを使った方がいいかもしれません。
欠点もあります。その一、構造上、グリップのところが壊れやすい。インクを入れ替える時、ペン中央のグリップのところを外して交換するので、そこがどうしても弱いのです。ペン先を保持するところとグリップのところが緩んでくると、その都度きっちり、締め直さないといけません。最悪、ここから壊れます。
欠点その二。うっかりペンを落とすと、グリップのラバー部分に、めちゃくちゃ埃がつきます。このパーツは、経年劣化でベタベタになるので有名らしく、私は落としたらザッと水洗いをして拭きます(水が入らないよう、注意が必要です)。できない時は除菌ティッシュで拭きます。私が同シリーズのシャーペンを使わないのはこのためです。グリップが壊れやすく、なおかつ洗わないといけないとなると、シャーペンとしては使えないですよね……。


●シャーペン ファーバーカステル「製図用ホルダー」


実を言いますと、シャープペンシルについては未だに決定打がない状態です。長く書き続けられる三菱のクルトガも、そこそこ壊れやすく、手に優しいわけでもないので。
ファーバーカステルは、ジャンボグリップペンシルを使っていたことがあるんですが(三角形の鉛筆にゴムのポツポツした滑り止めのついたもの。持ちやすい)、これもゴムが劣化してきますし、鉛筆なので頻繁に削らないといけないので、すぐ使わなくなってしまいました。
最終手段として私が選んだのが、製図用芯ホルダーです。芯が太いから折れないのです。丸くなったら芯の先はとがらせないといけませんが、専用のシャープナーがなくても、カッターで削れます。ホルダーは細めですが、芯がぐらつかないので、比較的書きやすい。
ただ、これも欠点がありまして……というか私が悪いのですが、芯が硬いので、全然減らないのです。替え芯が要らないんじゃないか思うぐらい減らない。なので書きごたえは硬いです。デフォルトの硬さでなくて、もうすこし柔らかめの芯を買えば良かったと後悔しています。製図用なので、すぐ減らない方がいいわけですが。


ここまで書いてきて、つまり何を申し上げたいのかといいますと、私の好みの筆記用具について書きましたので、「これもいいけど、こちらのペンの方が持ちやすいよ」というアドバイスをいただけないかと思うわけです。特にシャーペン。それから書き味が柔らかいボールペンをお願いします。万年筆はほぼ、使わないので……。


反対に、私と同じ、手が疲れて困るという方は、良かったらこちらを試してみてください。どれも高い物ではないので、気軽に試せると思います。


以上、手に優しい筆記用具が欲しい、でした。





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Narihara Akira
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