『ザ・泥沼妻』


「抱いて……」
次の日、勝手口を開けたガデスの胸に、刹那はいきなり倒れるようにしてもたれ込んだ。
「どうしたんだ」
問い返しながら、刹那の手首に擦り傷がついているのにガデスは気付いた。明らかに縛られた痕だ。
「旦那がやったのか」
「だから抱けって言うのに!」
「俺のせいでこんな目に」
「うるさい。早く」
刹那はむしろせっかちにガデスを脱がせようとする。
ガデスも刹那を脱がせながら息をのむ。
あまりに生々しい凌辱の痕。
「俺のものだと思うなら早く! 入れて、突いて、動かして……っ!」
叫ぶような刹那の声を、ガデスは口吻で鎮める。
「……わかった。俺が全部消してやる」

「あ、あ、あ!」
もつれこんだベッドの中、刹那は短い呼吸で耐えた。
夫のつけた痕をガデスの口唇が吸うたび、身体がゾクリと震えてしまう。
嬉しくて、苦しくて。
打ち込まれる杭のリズムに合わせて、たまらず腰を突き上げた瞬間、
「やはり、そうでしたか」
落ち着いた、いや、むしろ面白がっているような声。
寝室の入り口に、リチャード・ウォンがたっていた。
「ウ、ウォン……!」

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